稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

【2024年6月議会報告】元ひきこもり当事者が考える支援策

稲沢市議会議員のしちおうです。

議会登壇の振り返りの最後は、ひきこもりの方の支援です。

・ひきこもりの定義

ひきこもりは、自宅にひきこもって学校や仕事に行かずに、家族以外との親密な対人関係がない状態が6ヵ月以上続いている状態のこと

 

ひきこもりの現状

昨年度に稲沢市がひきこもり支援で介入した人数は、53人(内、継続22人、新規相談31人)

国の調査では、15〜64歳の約2%、50人に1人がひきこもりと言われているため、稲沢市に単純に当てはめると、1600人になります。つまり、1600人のうち、わずか53人としか繋がれていないということです。


ひきこもりの原因は、① いじめ、不登校など学校に関すること、② 就職活動や職場の人間関係など仕事に関すること、③ 病気が多いですが、原因が特定できない場合もあります。

原因が分からないことから、「怠けている」のではないか、という偏見に当事者は苦しんでいます。しかし、ひきこもりは、「怠け」ではなく、「元気」や「自信」が失われた状態にあるため、まずは心身を休めて元気を取り戻し、少しずつできることを積み重ねて自信をつけ、他者との交流・社会的経験を増やしていくことが必要です。

今回の議論のポイントは、そのキッカケをいかに提供するか、になります。


 

現状の稲沢市のひきこもり支援策と実績は?

(市役所)

現状は、電話、来所、訪問、LINEなどによる相談窓口の設置、当事者に対する居場所づくりとして家族会や家族教室の実施、関係機関とのネットワークづくりを行っています。

これらの取り組みにより、10代からひきこもっていた女性が電話相談から始まり3年かけて、今年の6月から就労することができた事例や、20年近くひきこもっていた男性で、家族の方が窓口に相談に来られて、定期的な面談や家族教室を通して家族の意識が変わり、今年の4月にようやくひきこもっている男性本人に繋がることができた事例等があります。

 

さらなる支援策〜早期介入〜

ひきこもりは、長期化すればするほど、改善が難しくなります。

結果、8050問題(80代の親が50代のひきこもりの子どもの生活を支えるために、経済的にも精神的にも追い込まれる状態)に移行しやすいため、できる限り早い段階での介入。とりわけ不登校の子への支援が必要です。

必ずしも不登校の子ども全員が、ひきこもりに移行するわけではありませんが、義務教育を終えた中学卒業後は支援が手薄になるため、ここを手当てする必要があります。

卒業時に不登校でいる子を対象に、全件電話や訪問、SNSでの勧奨を行っては?

(市役所)

不登校の児童生徒に個別に接触するのは、当事者や保護者の理解が必要。教育現場と定期的に打ち合わせの機会を持つなど連携を深める中で、進学先が決まっていない生徒、不登校の子のいる保護者の方々などに向けた周知に取り組んでいきます。

→ デリケートな問題でもあるため、教育委員会と連携して早期介入のための手法を探って頂くこととなりました。

 

相談員との顔の見える関係性

他市町村で、相談員の名前と似顔絵、趣味などが記載し、相談しやすい雰囲気を作っているところがありました。
ひきこもり支援は長期間に渡るため、相談員との関係性はより重要になります。相談員の人となりが伝わる案内に変更しては?

(市役所)

他団体の取り組みを参考に、ホームページでの相談員の紹介など、相談しやすい雰囲気づくりに取り組んでいきます。

 

女性に特化した支援

ひきこもりと聞いてイメージするのは、どんな方でしょうか?

もしかしたら、男性を思い浮かべるかもしれませんが、国の調査では、ひきこもりの女性は15歳〜39歳で45.1%、40歳〜64歳では52.3%と半数を上回ります。

昨年度、稲沢市が新規に支援した31人の内、男性は26人、女性は5人ですが、これだけの人数しか女性はいない、のではなく繋がっていないだけなのです。

当事者・家族会の中で女性に特化したものなどを開催しては?

(市役所)

相談員の8人中6人が女性相談員です。今後、女性に特化した当事者・家族会など、女性が参加しやすい形で実施できるよう取り組んでいきます。

 

就労体験含めた居場所の確保

ひきこもりの当事者への調査によると、「就労に向けた準備、アルバイトや働き場所の紹介」、「短時間、15分からでも働ける職場」を求める声が多くありました。

これを受け、東京都江戸川区では、15分という短い時間でも働けるように、一般社団法人を設立し、区役所内で発生した定型的な業務などを担ってもらっています。

 

私は生きていく上で重要なことの一つが、誰かに必要とされることだと思っています。就労はその大きなキッカケになります。

江戸川区の事例を参考にしたり、すでに稲沢市で行われている、ごみ出しや買い物代行を担う有償ボランティア制度(生活支援サポーター)に参加して頂いたり、既存の仕組みを工夫して、就労に結びつく活動を提供できないでしょうか?


(市役所)

現在は、農業体験など、将来的に就労に繋がるような体験の場の提供を行っています。

今後は、商工会議所などに呼び掛けて、協力を頂ける地元企業の発掘を行い、当事者の希望に合わせた就労体験の場の提供ができるよう取り組んでまいります。

また、提案頂いた有償ボランティアである生活支援サポーターについても、短時間で参加できる活動の場として、必要に応じて情報提供していきます。

 

以上、簡単な報告でした。

なお、今月の市の広報誌の中に偶然ひきこもり支援のことが書いてありました。今回いくつか前向きな返答を頂けたものが、これから実際に形になるように、継続的に見ていきますね。

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稲沢市議会議員 しち おう/志智 央
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