稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

何をやってもダメ?〜学習支援のもう一つの効果〜

生活困窮者自立支援法(生活保護を受給するなど、経済的な理由で困っている方への支援策)の施行により、各自治体が取り組み始めた“学習支援教室”。

稲沢市では、“ブリッジルーム”の名で昨年から開始。教員OBの方らが、中学生の勉強を教えており、何度もブログで取り上げてきました。【過去記事−ブリッジルーム訪問−、−議会で取り上げる−】

 

教室が始まって一年経っていませんが、「勉強が好きになった」「進学する意欲が強くなった」「学習時間が延びた」などの効果が出ています。この度、全国で同様の教室を開いている自治体への聞き取り調査が行なわれ、検証データが出ました。

 

「生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業に関する調査」結果のお知らせ|NPO法人さいたまユースサポートネットのプレスリリース

 

 

検証データの中で一番気になったのは、親や子どもに学ぶことの諦めがあり、対象世帯の全てが参加しているわけではないという部分です。議会の中でも取り上げましたが、貧困家庭の子は、そうでない家庭の子に比べて「自分は価値のある人間だと思わない」割合が倍増しています。つまり、「自分は何をやってもダメだ」と自信を失くしてしまっているということです。

 

一方で、調査結果によると、「貧困家庭の子どもに対して学習支援事業を行なうことにより、友人や大人との関係が良くなる傾向がある」、「支援には成績の向上だけでなく、社会との繋がりや自己肯定感などを高める効果も伺える」という分析もあります。

 

 

自信は、生きていく上でとても大切な要素です。自分や自分の持つ可能性や未来を信じられるから、今に取り組むことができる。つらいことに立ち向かうことができるのも、きっと乗り越えられると自分を信じられるからこそ、挫けずにいられる。

 

学習支援は、勉強や進学といった言葉と結び付けられやすいですが、自信を育むなどそれ以外の部分(基本的なマナー、いじめや虐待への気付き、仲間づくり、目標となる大人を見付ける、不登校・中退対策)の方がむしろ重要なのではないかと考えています。テストの点数の取り方よりも、そちらの体験の方がもっと大切で、私は学校に行っていなかったので勉強はダメダメでしたけど、なんとか今も生活していられるのは、勉学以外で学んだ多くのことがあったからだと思っています。

 

 

その経験を通して思うのは、人は、人や社会との繋がりを通して、自信を取り戻していけるということです。出自に関係なく学べたり、いろんな人や体験と出会えることは、目に見える成績や進学以上に価値を持っています。それは生活に困窮している家庭に限らず、すべての子どもに言えることで、そういう場所を増やすこと、そういう部分に人やお金を充てることが必要です。

 

 

反響

ちなみに、議会でブルッジルームを取り上げてから、元教員の方々から問い合わせがあり、2名の教員が新たに加わることになりました(私の議会質問の内容が載った“議会だより”を持って市役所を訪れてくれたり、直接メールをくれたりした…嬉しい…!!)

行政の良い取り組みにはちゃんと光を当てて、検証データの中でも指摘されている「学校や教育委員会をはじめとした関係機関との連携の必要性」などの解決法を探って、さらに策を前に進めていきます。

【各家庭に配布される議会だより(8ページに記載)

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しち おう/志智 央
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