稲沢市議会議員のしちおうです。
寝屋川市は、いじめを児童生徒に対する重大な人権問題と捉え、市長部局に監察課を設置。学校・教育委員会による通常のいじめ対応に加え、行政的アプローチとしていじめの即時停止に向けた取り組みをしています。
概要
監察課が従来の学校・教育委員会によるいじめ対応とどう違うのか、は以下の図の通り。
簡単に言うと、市長部局の監察課による行政的アプローチによって「いじめの即時停止」を行い、短期間で判断・解決する。その後の児童生徒の人間関係の再構築という長時間かかる教育的な指導は学校・教育委員会が行う、という二本立てになります。
特徴
① ダブルチェック
第三者の視点でいじめ対応の不備や事後検証をチェックできる
② 2つの選択肢を提示
相談者が望む形での解決を選択できる 教職員等との問題にも対応が可能となる
③ 役割分担
教職員の負担軽減、専門的な対応が可能
さらに、以上の二つのアプローチに加え、法的アプローチも行なっています。→ 賠償請求などの民事訴訟や刑事告訴の支援、弁護士費用を補助。これまでの4年間で1件弁護士費用の補助を行い、示談に繋がったそうです。
参考になる取り組み
・攻めの情報収集
毎月1回、全児童生徒にいじめ通報促進チラシを配布し、いじめの情報収集、早期発見、いじめの抑止効果を働かせています。しかも、このチラシ自体が監察課に送付できる手紙の機能も有しており、いじめの相談のうち、このチラシによる相談が最も多かったそうです。
すごいアイデア。
・子どもたちをいじめから守るための条例
市独自の条例を制定。特徴としては、保護者と地域住民に対し、「寝屋川市に対し、いじめに関する情報提供を行う責務を負う」と明示。また、市長の権限を明示し、いじめの防止の申し出があった時に必要な調査および措置を行うと書いてあります。
結果、出席停止や別室指導その他の懲戒、学級替えなどの措置ができるようになり、4年間で6件の勧告を行ったそうです(内訳は、クラス替え2件、環境整備4件)
感じたこと
いじめは自殺に繋がりかねない重大な事案ですが、学校内で行われているせいか悪ふざけで済まされてしまうなど、軽く見られがちです。寝屋川市はいじめが子どもたちの人権侵害に関する問題であると重く受け止め、本気で抑え込むための取り組みをしていました。
いじめの被害に遭っている児童生徒やその保護者にとっては、学校や教育委員会だけでなく、行政がいじめをゼロにするために法的アプローチ含め、さまざまな取り組みをしていることは大きな心の支えと安心に繋がっていると感じます。
寝屋川市のいじめの認知件数は、2019年172件、2020年169件、2021年183件、2022年337件とこの取り組みで減少していませんが、これは攻めの情報収集により、今まで見えていなかったいじめの問題が表面に出てきている段階なのだと思います。
このアプローチの継続で、今後は抑止に繋がるかどうかが問われていますし、きっとそうなるのではないかと期待しています。
この取り組みを稲沢市に導入するためには、教育委員会の理解が必須です。監察課導入のメリット(いじめ対応を学校だけで抱え込まずに済む、役割分担で児童生徒のケアに集中できる、第三者機関として機能することでいじめの渦中にある児童生徒や保護者の理解が得られやすくなるなど)を丁寧に伝えていきたいと思います。
以上で視察の報告を終えます。今回も学びが多かったです。稲沢市の今後の政策提言に生かしていきますね。最後まで読んで下さって、ありがとうございました!
稲沢市議会議員 しち おう/志智 央
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