稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

特色のある学校づくり〜佐賀県鳥栖市の日本語教育〜

稲沢市議会議員のしちおうです。

視察の2日目は鳥栖市で、日本語教育市民活動支援センターについて学びました。

 

鳥栖市の公立小学校・中学校では、教科の中に日本語があります。 

え?日本人の子どもが日本語を学ぶの?国語じゃなくて?と思いますよね。

実は鳥栖市では国語に加えて独自に教科・日本語を設け、教科書を作成。詩やことわざ、慣用句などの言語や伝統文化、礼儀作法などを学んでいます(日本語教育に取り組んでいる自治体は全国に3つもあるらしい)

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導入の背景

読解力の低下を含めた学力の問題、外国語の習得の重要性が言われる中で基礎となる国語力への理解の低下に加え、鳥栖市の魅力を子どもに伝えていきたいという思いもあって、特色のある学校作りのために教科・日本語を取り入れた。

経緯

2013年に教科書の編集作業をスタート、文部科学省に申請、特例校の指定を受け、

2014年に一小学校区で試行

2015年に全校で実施。 国語、生活、総合の一部を減らした分で、日本語を学ぶ

内容

領域

具体的内容

言語

詩、ことわざ、慣用句、方言など

伝統的言語文化

昔話、神話・伝承、俳句、短歌など

伝統文化

かぞえ歌、伝承遊び、川柳、狂言など

礼儀作法

あいさつ、日本の衣食住文化、マナー

 

言語の項で、「てあそび歌」や「だるまさんだるまさん」などに取り組んでいるのだけど、誰かと一緒に歌ったり身体を使って表現したりすることで、コミュニケーション自体を学ぶように促しているそう。

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成果

学力が向上(教科・日本語の導入との直接的な因果関係は調査できず、不明だが…)

・小学校の「活用」に関する問題で正答率0.87→1.04(県平均が1.0)へ。

・中学校の「活用」に関する問題では、正答率0.84→1.06へ改善。

保護者へのアンケートでも、85%の満足度が得られている。

課題

教員が一から教科・日本語を学ばなければならない負担と、学力が上がることで国立・私立中学校への進学率が増加し、教員の負担が増えるジレンマも発生している(学力上位のリーダー格が抜けることで、教員が指導する負担が増加)

感じたこと

独自の授業を始めるというのは、リスクがあるんですね。

授業のコマ数は決まっているので、新しい科目を始めるには、今までの科目を削らなければならない。それでもしも学力が下がるなどの影響が出れば、当然責任を問われる。

子どもの学びを妨げてしまうし、保護者からの「鳥栖市に住むと、他市町村で受けられる普通の授業が受けられない」と言われてしまうかも。わわわ、すごいプレッシャー。

 

そのリスクを背負った上で挑戦して、学力という直接的にアプローチしていない成果を生んだことは素晴らしいと思いました(現場の先生が「今の教育で足りない」と感じた要素を、自作した教科書に加えていたように感じた」)

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ただ、過労と言われる教員に、さらに負担をかけている面は否定できません。特にぼくらの世代は日本の伝統的な言語や文化って言われても知らないから…教員も一から学ばなければならないから、大変だと思います。

指導案や指導事例集を作ったり、授業の教材を使い回せるようにしたりする工夫をされていたので、これを教科・日本語だけでなく他教科でも行なうことで負担の総量を減らしていく必要があると感じました。

 

いずれにしても、鳥栖市でしか受けられない教育を進めることは自治体の魅力作りの面で非常に有用で、稲沢市でも教科・日本語に限らず独自性の高い教育を取り入れられないか、検討していきたいと思いました。

 

長くなってきたので、市民活動支援センターは後日に! 

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稲沢市議会議員 しち おう/志智 央
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福岡県春日市〜稲沢市と似たもの同士、学ぶことがある〜

稲沢市議会議員のしちおうです。

会派(議会内のグループ)の視察で福岡県に来ています。外からは何をしに行っているのか見えにくいと言われる視察、今回もどんなことを学びに行ったのか報告しますね。 

まず、初日は、稲沢市で計画されている鉄道の高架(鉄道を道路上に持ち上げることで、踏切や渋滞を緩和する手法)と駅前再開発がもうすぐ完成しそうな春日市へ。

稲沢市と状況や人口、駅利用者数が似通っていて、これから検討されようとしている事業の参考になるのではないかと考えたわけです。

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2年後に完成予定でいる春日市の鉄道高架の話が持ち上がったのは、なんと、ぼくが生まれる前の1985年。約35年前にまで遡ります。鉄道によって東西に地域が分断され、駅周辺の発展を阻害、踏切による交通渋滞もあり、解決を図ろうとしたわけですね。

 

そして、35年の時を経て、2年後に完成を迎えようとしている。…感慨深い、と思いますが、実は工期が最大4年後まで遅れていて、工事費も当初予定を180億円増の557億円にまで膨れ上がり、予定通りとはいかない状況になっていました。

さらに、駅前再開発も地権者の同意を得られないことなどを理由に整備の一部を断念せざるをえず、時代背景が変わるほど長期間の大型事業の不確実性だったり、かと言ってもう今さら止めるわけにはいかない恐さだったりを痛感しました。

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工事まっただ中。
 

 

鉄道を高架化すると、人口や車の運転が一定数見込める“今”であれば、渋滞が緩和される恩恵があると思います。ですから、春日市はこれから町の状況が変わるのでしょう。

でも、やっぱり、“今から”30〜40年後では遅すぎる(稲沢市でこれから取り組もうとすると、これだけの期間かかると言われている)

そして、春日市職員も話していましたが、人口減少、超高齢社会、公共施設マネジメントなどの課題がある中で、これから鉄道高架と駅前再整備という大型事業を行なう財源をどのように確保するかは大きな課題になると思います。

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また、鉄道を高架して、駅前を綺麗に整備するだけでは、町に賑わいは生まれません。事実、春日市も本事業だけでは充分に駅前の交流人口の増加や、住宅建設、施設などの誘致が進んでいないようでした。

鉄道高架と駅前再開発はあくまで手段なので、将来的なまちづくりの姿を定めた上で、計画的に人々の生活に身近な住宅の建設や業務施設および商業施設の誘致を進めることが必要なのではないかと感じました(そして、そのための手段はもしかしたら鉄道高架や駅前再開発とは別のことなのかもしれない)

 

春日市の視察は今日で終わりですが、完成予定の2年後以降もどのように町が変化していくのか、継続してチェックしていこうと思います。

 

本日はこの辺で。

 

追伸

春日市の議会機関誌に、先日ぼくが特集した請願と陳情の図式が載っていました。

ぼくの説明よりも、圧倒的にわかりやすいので、転載させてもらいますね。 f:id:shichioh:20200120235323j:plain

このように図式して、わかりやすく伝えられるように、なりたいなぁ。

 

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請願と陳情ってなに?〜誰もが、議会へ、思いを告げられる権利〜

稲沢市議会議員のしちおうです。

先日、ぼくが携わった政策の内容を記事にしてもらったのですが、それを読んだ方(小児がんの子を持つ保護者の方)から連絡を頂きました。

要約すると「このような支援策を各市町村独自の政策ではなく、国が行なうことで全国の当事者の子どもを助けられるようにしたい、各市町村議会を動かして国へ提言を行なうにはどうすれば良いか?」といった内容でした。

うんうん、そうだよね。自分の住む町の子どもだけの話じゃないもんね。

ぼくも思いは一緒です。

じゃあ、国に意見を言う。そのために市町村議会を動かすにはどうすれば良いか?

途方もないハードルに感じるかもしれないけど、そのための方法がいくらか用意されていて、その内の一つが請願陳情です。

 

請願・陳情ってなに?

請願・陳情は、どなたでも困っている問題について市民の代表者たちが集まる議会へ実情を訴えることができる権利です。

・請願と陳情の違い

提出方法(請願は対象地域の議員 最低1名の紹介が必要で、陳情は議員の紹介は必要ない)と、

扱い(各自治体の判断によりますが、請願は委員会で審査され、議員が賛否を示すところまで行なうことが多い。稲沢市の場合、請願は委員会+全員で賛否表明、陳情は内容の閲覧のみ)が違う。

 

請願も陳情も訴えたい内容や理由を紙に書いて議会へ提出(様式は「対象の自治体名スペース請願or陳情」で検索すると、だいたい記載例が出てくる)、受理されると直近の議会で審査あるいは閲覧などがされます。

愛知県議会の例)

請願は、審査の結果、適当であると認められると採択され、知事や教育委員会など関係する行政機関に送付される。そして、行政機関では請願の内容を尊重して仕事を進める。


陳情は、関係する常任委員会等に送付されるが、請願とは異なり採択、不採択などの議会の決定はなされない。

 

議員にはさまざまな相談が寄せられるのですが、それは「友人や知人に議員がいるから相談ができる」だけで、そういった繋がりがない人は相談するチャンスが失われてしまいます。

そういった方でも、誰でも、実情や思いを訴えられる手段として請願・陳情はとても大切な権利だと思います。

しかし、そもそも請願・陳情のシステムを知らない人がほとんどなんですよね。ぼくもこの業界に入るまで知らなかったもの。なので、今回は「請願・陳情ってものがある」ということだけでも、知ってもらえると良いと思ってまとめました。

 

今回相談して下さった方にも請願・陳情について紹介しつつ、自分にできることでサポートしていきたいと思っています。

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