稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

誰かが見ていてくれる安心感。

私の住む街には、魅力があって、

でもそれは見つけ出して、そして伝えられて初めて相手に届くものだと思う。

どんなに良いことをしていても、良いことがあっても、「相手に届かなければ無かったことになってしまう」だから、行政の情報の受信、そして発信はとても重要なことで、私は選挙に出る時に、「若者の視点で、街を盛り上げます!」と約束して勝ち上がってきたので、市の宣伝−シティプロモーション−は、任期中のテーマと感じている。

 

議会でも取り上げて、職員さんと話し合ってから、広報誌を置く場所が増えたり、少しずつ変化していることがある。特に、広報誌の表紙が変わってきたように思うので、今回紹介する。−過去記事 【シティプロモーションについての一般質問】−

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写真の通り、2月号はコマ割りにより成人式の賑やかさと華やかさが伝わってくるし、3月号は人に視点が当たることで場の空気やカルタの迫力が伝わってくる。二つとも、気合い入れて写真撮ったり、見映え良く構成したりしてくれたのだろうなぁと、職員さんの想いのようなものが伝わってきて、気に入っている。

 

 

私たちの仕事は、予算や決算が妥当かなど、割と「ツッコミ」を入れることが多く、否定や批判の色を持ちやすい。でも、それだけじゃなく、良い部分を見つけ出すこと、そしてそれを周りに伝えることも大事だと思う。それは、街の魅力を見つけ出す作業に似ていて、職員さんの取り組みにスポットライトを当てることは、街の魅力を引き出すことと同じことで、議員の役割の一つなのだと最近感じるようになった。

 

 

誰にも見られず、認められずに、良い仕事をやり続けられることは難しい。私も、誰が見ていなくても、自分とお天道様は見ていると自分を奮い立たせているけれど、やはり「この前の議会だより見たよ」「いつも活動応援してるよ」と言われると嬉しいし、もっとやったるぜ!と頑張れる。仕事に限らず、人は、誰かが見てくれている、という感覚を持つことで、本来の力を発揮することができるのではないかと思う。

 

気に入った記事があると、直接言いに行ったりするので、職員さんにはうっとうしがられていると思うのだけど、できる限り、良いものに対しては良いと、伝えていきたい。

しち おう/志智 央
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あなたとの出会いを待っている人がいる。

新しい年度が始まった。

昨年度、最後の公務は保育園の卒園式で、地域の代表として祝辞を述べた。私は、こういうお堅い場での挨拶が苦手だ。性格なのか、場の空気が重いほどに笑いをとりたくなる習性がある。そして、始末が悪いことに、だいたいの場合スベる。

 

何故、そこでリスクをとってチャレンジするのか、自分でも理由は分からないのだけど、一つは他の来賓の方が真面目な挨拶はしてくれるからだと思う。時候の挨拶から始まる丁寧な祝辞は、やってくれる人がいるので(そして、私よりも上手なので)、潔く任せる。となると、残ったのはお笑い要素だけなので、私は周囲の期待に応えたい一心でボケる。そして、スベるのだ。

 

 

みなさんであれば、5歳前後の子どもに対して、どんな言葉を送るだろうか?

例文は探せばいくらでもあるのだけど、通り一遍の挨拶ならばわざわざ時間をもらって話す意味もないので、私は今回、お笑いでいくか、真面目にいくか迷った末に、だいたい以下のような話をした。

 

ご卒園おめでとうございます。

先ほど皆さんが目標を言ってくれました(近所の保育園では、卒業証書を受け取る時にひとりひとり目標を語る)。それを聞いて、私も皆さんと同じくらいの歳に「友達を100人作る」という目標を立てたことを思い出しました。

それからもう何十年も経ちましたが、未だにそんなに友達はいません。ただ、友達を作るコツみたいなものは分かってきました。それは、自分からまず友達になる、話しかけるということです。小学生になって、周りには友達ができるか不安に思う子がたくさんいます。そんな時に、自分から周りの子に話しかけたり、遊んだりしてみて下さい。友達になってもらう前に、自分からなってあげて下さい。

 

気の合う友達が、この保育園でできた子もいれば、これからの日々で出会う子もいます。もしかしたら、すぐには見付からないかもしれませんが、どこかには必ず、皆さんのことを良い奴だ、と言ってくれる人がいます。諦めずに、出会い続けて下さい。

 

結局のところ、子どもに対して私から伝えられること、あるいは伝えたいことは、自分を大切に思ってくれる人(家族や友人)がいると人生は豊かになるということ。そして、自分を大切に思ってくれる人は、どこかに、必ず、それはもう間違いなく存在していて、あなたとの出会いを待っているということだ。

子どもの世界は狭くなりがちで、同じ小学校の、しかも同じ学年でしか友達ができないことが多い。でも、年齢の上下や、住んでいる地域なんて実は全然関係なくて、そんな枠を取っ払ってしまえば、気の合う仲間と出会う確率はグッと高くなる。

そして、良い子じゃない自分でも、ダメダメな自分でも、受け入れてくれる人は意外といて、その時に感じる「あ、別にこのままの自分でも良いんだ」という喜び(安心?)は自分自身を肯定する力に変わるのだと思う。

 

人と交わることは時に悲しみも生むけれど、それ以上の喜びをがあることを信じて出会い続けてほしいし、私自身もそれは忘れずにいたい。

 

 

ちなみに、私が述べた話は、「祝辞らしくないけど、良かった」と先生や保護者の方から言って頂けた。祝辞らしいことを言えなかっただけなのだけど、結果オーライだと思う。卒業と、新しい始まりに、祝福を。

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名張市視察〜アグリー農園とまちづくり〜

友人らと、三重県名張市の農園と市役所を視察しました。

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(隣町の伊賀忍者にまつわり、忍者推し。いつか忍者もしたい。)

アグリー農園。

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農園の名前はアグリー農園。主婦の井上さんが、知り合いの全くいない地域で、知識ゼロから農業を開始。度重なる失敗と借金の中でも諦めずに経験を積み重ね、小松菜や水菜などの葉物野菜を水耕方式※で栽培する方法を確立されたそうです。

水耕栽培…水で栽培するため、土がつかず衛生的で調理がしやすい。

そう三行の文章でまとめるには、あまりにも大変な日々で、手元にある野菜(帰り道に思わず、小松菜と水菜を購買)がとても大事なものに感じられました。

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農業と福祉の連携。

井上さんは他にも、NPO法人として障害者の就労の場を作ることにも取り組まれています。農業と福祉の連携で、後継者不足に悩む農家と、障害のある方の就労先不足の問題を一度に解決。農業と福祉を掛け合わせることで、50%+50%=100%にするのではなく、それぞれを自立させることで100%+100%=200%の成果を出していました(障害者雇用による事業は利益が上がらなかったり、利益があっても障害者に充分な工賃が支払われないことが間々ある中で素晴らしい成果)

“農業”と“福祉”、どちらも中途半端にはできないことであり、どちらも本気で取り組まなければいけないこと。国の基準の3倍の支援員を配置して、農家と障害のある方が“仕事として成立する農業”を追及されていました。

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現在は、“芸術”と結び付けて、「さをり織り」の作品作りも。失敗の少ない作業を用いて、障害のある方の個性や長所を引き出していました。

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農園や福祉、芸術の取り組みを見て感じたのは、井上さんの「人や物の輝きを見付ける技術」です。野菜の魅力を引き出して売ること、障害のある方の個性を引き出して成果物を生み出し商品化すること、すべては人や物の価値を見る力なのだと感じました。

 

 

「大変なことは多くても、夢に向かって取り組めていること自体が幸せ。そこには成功も失敗もない」と話す井上さん。彼女を突き動かす原動力は、今に至るまでに手を貸してくれた人々への恩だそうです。元気で、何かやってくれそうな期待感があって、執念深くて(笑)、自然と応援したくなる姿に刺激を受けました。

 

自分がひきこもりであった時や病院で働いていた時にも感じことは、「多数派の枠組みから外れると、人々が当たり前に望むことを望めなくなる」ことで。それは、外出するだとか、仕事をするだとか、恋愛するだとかなのですが、障害を持っていても関係なく、働ける場所がある。そして、認めてくれる人がいる、というのは希望なんだと感じました。 

名張流まちづくり。

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名張市は、市役所自体も、まちづくりや、地域包括ケアシステム※(まちの保健室、有償ボランティア、名張ネウボラ※)に関して先進的な取り組みをしています。

※地域包括ケアシステム…死ぬまで、住み慣れた地域で生活し続けるための仕組み作り。

ネウボラ…妊娠期から出産、6歳になるまで一環して一人の保健師助産師が子どもと母親、そして家族の相談にのる場所(フィンランド発祥)

名張市は、ほぼ全ての自治体に存在するであろう区長制度を廃止。174区に分かれていた地域づくり組織を小学校圏域ごと15区へ再編しました。そして、区長への報酬や公民館の維持費などのお金を一まとめにして、組織に分配。住民の考えで、お金を自由に使える制度を作り出しました。

「道路の修復に充てるも良し、側溝のどぶ掃除をするも良し、コミュニティバスを運行するも良し」お金の権限を全て移譲し、いわば小さな自治体を作成。行政にお願いされるのではなく、地域の課題を我が事の課題と認識し、自ら考え、自主的なまちづくりを進めています。

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他にも、“住民のための住民による有償ボランティア”、小学校単位に専門家が常駐する“まちの保健室”を運用(私は、稲沢市も子どもの多い地域や高齢化率が高い地域から、保健師や看護師、保育士、社会福祉士リハビリテーション専門職らが駐在して、子育てや介護などの相談や支援を行なう必要性があると思っている)していますが、根っこにあるのは「住民自治」。そして、その土台を作ったのが、上記のまちづくり組織なのだと分かりました。

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プレイヤーを増やす。

まちづくりで一番重要なのは、傍観者を減らすことです。

名張市のまちづくり組織への参加資格は、そこに住むこと。市政への参加は従来、選挙権を行使するもので、(これからの未来に一番関係のある人たちなのにも関わらず)18歳以下の意見はおざなりでした。

この組織には子どもも入れるため、小さな頃から自分たちでまちに関われる可能性があります。まちを作り上げる経験ができれば、地域への愛情を持てるでしょうし、自信も付く。きっと、大人になってからも傍観者にならずに、プレイヤーとしてまちに関わることができるはずです。

 

地域包括ケアシステムやネウボラという言葉の前に、土台作りに取り組む必要性があることを痛感しましたし、自分自身で行なっている活動(まちづくりミーティング)が住民自治に辿り着く一つの要素だと感じました。

 

 

いろんな人と世界がある。広がった視野を、自分の街に落とし込んでいきます。

 

しち おう/志智 央
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