稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

続・視察〜秋田県鹿角市・子どものキャリア教育など〜

 今回も引き続き、視察の報告です。

shichioh.hatenablog.com

 

秋田県鹿角市〜子どものキャリア教育〜

 2日目は秋田県鹿角市へ。高速バスに乗って、1時間半ほどかけて到着。

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【概要】

 テーマは、子どものキャリア教育(職業・技能上の経験を積む)です。

 鹿角市では、子どもたちがリンゴの木を借り育て、リンゴを収穫。それを売り、売り上げを次の事業(アップルパイの制作など)へ展開するなどを行なっています。

 

 子どもが、事業を興しているわけです。スーパー小学生ですよね。

 もちろん、教員の手を借りている部分はありますが、子どもが主体的に取り組み、それを学校だけでなく、地域の大人がサポートしていました。

 

【成り立ち】

 元々、この事業は、人口減少対策・子育て支援の観点から始まりました。子どもに、自分の地域の良さを知って、地域に居続けてもらう取り組みの一環なのです。

 事実、これらの事業を行ってから、「将来の夢や目標を持っている児童・生徒の割

合」は増加。子どもが修学旅行先の自治体に、自分の関わった商品をPRするなど波及しているそうです。末恐ろしい子たち…

 

【子どもの可能性を広げる】

 他にも、「夢の教室」という特別授業も実施しています。

 日本サッカー協会と協力し、元日本代表サッカー選手ら一流のスポーツ選手を“夢先生”として招待。挫折を含めた自らの体験をもとに“夢を持つこと、そして、それに向かって努力することの大切さ”などを伝えています。

 

JFAこころのプロジェクト | JFA|公益財団法人日本サッカー協会

 

 また、スーパーやホテル、美容室、消防署、図書館などの職場見学や、ボランティアへの参加も積極的に行なっています(観光客に、自ら声をかけて案内したり、雪国なので除雪作業をしているそう)

 ボランティアの活動はカードに記録され、実績によりさまざまな寄付が行なえます。しかも、寄付の使途(世界の子どもへのワクチン配布、富士山の自然保護など)は、子どもが決めることができます。

 

 

【参考になったポイント】

 私は、暗記を始めとした、学力に偏重する教育に、すこし違和感があります。

 なので、一流の人から経験や挫折の乗り越え方を聞いたり(夢先生)、周りの人の助けを得ながら目的を達成したり(キャリア教育)、自分が誰かの役に立ったり(ボランティア)

 そんな鹿角市の教育手法に感動しました。

 

 この教育は唯一無二のものなので、「キャリア教育を受けさせたい」という親の受け皿になり得ます。また、地域の大人との接点が多いので、街への愛着も増すでしょう。

 ここまで来るのには苦労が多く、「学校と地域との距離感が近い」という土台がある故ですが、稲沢市でも、たとえば、「夢先生」から始めてみるなど部分的に応用できるのではないかと感じました。

 

 是非やりたい。自治体が無理なら、私が、密かに計画している学習支援教室の中でやりたい。

 

岩手県盛岡市〜駅前再開発〜

 最後は、盛岡市の駅前再開発です。

 盛岡市は、広大な土地を民間業者と共に開発。住宅地や企業のオフィスが増え、目的としていた「にぎわい・活気」が駅前に生まれていました。

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 一方で、これにより、市民の交流が促されたか?に関しては疑問が残りました。やはり、駅前にハコモノを作るだけでは市民の交流は生まれず、環境や動線を作る「仕掛け」が必要のようです。

 

 稲沢市でも駅前再開発が取り沙汰されている中、「身の丈に合った再開発」はどんな手法があるのか…岩手県紫波町のオガールプロジェクトと共に、二つの実例から検討していく必要があります。

 いずれも課題を抱えていますが、企業を誘致するために全国1,000社以上に連絡し、有望な企業へは直接営業をかけた盛岡市の姿勢は大変参考になりました。

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 以上で、今回の報告は終わります(正式な視察報告書も提出済み)

 みなさんお察しの通り、視察は税金で行かせてもらっています。学びに行かせて下さり、本当にありがとうございます。市政に生かせるように取り組んでいきますね。また、報告書は市役所の情報コーナーで見られますので、機会があれば是非。

しち おう/志智 央
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視察〜岩手県北上市・学生の合宿に対する補助金編〜

 以前に、他自治体で行なわれた政務活動費の不正を取り上げました。

shichioh.hatenablog.com

 

 この中で、稲沢市も年2回ほど会派(議員のグループ)で視察があると書きましたが、昨日から2泊3日でそれに出ています。情報公開の鬼になるべく、どんな自治体を訪れ、どんなことを学んでいるかをまとめます。

 

岩手県北上市〜学生の合宿に対する補助金

 朝5時台に起床し、新幹線で5時間ほど揺られて、岩手県北上市へ向かいます(空港からの交通の便が悪く、新幹線での移動)外は大雨で、愛知の雨男を盛大に迎えてくれています。

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【概要】

 視察先の北上市は、市外から訪れる学生の合宿に補助金を出しています。

 「なんで市外の人に市のお金を出すの?」という素朴な疑問が浮かびますが、市の狙いは、①市内施設の利用や宿泊でお金を落としてもらう、②訪れた学生に市民との交流を義務づけることで、市民と文化・芸術との接点を増やす、にありました。

 

【実績】

 実際に、約100名の部員を擁する高校の吹奏楽部が訪問。市内の高校生と共に練習するなど交流を図りながら合宿を行ない、練習方法を伝え合ったり、ライバルとして大会でまた会おうと奮起し合ったりしたそう。今後、小中学校への訪問や市のホールでの発表会やワークショップへ繋げて、多くの市民を巻き込んでいくことを計画しています。

 

 市の文化ホールは全面ガラス張りで、周りから活動の様子が見えるよう設計され、「文化・芸術を自分のものとして楽しもうよ!」という気概を感じました。実際、文化ホールは夜遅くまで多くの人が訪れ、20を超える貸しホール&貸し部屋は稼働率が100%近い場所もあるそうです。

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(年中無休のホールなのに、視察日に保守点検日がバッティング…誰もいない…)

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(音楽スタジオもあり、専門スタッフが常駐し録音もできる。練習は外から見える)

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(ホールも、外から丸見え。一級建築士の市長がこだわりを持って設計されたそう)

 

【文化を創る〜当市への応用〜】

 補助金はあくまで一つのツールで、市民の文化・芸術への意識を高めることと、街おこしが主目的だと感じました。稲沢市も文化創造都市!と銘打っているのですが、文化ホールには貸部屋はないし、限られた人しか芸術・文化に携われていない印象を受けます。

 

 あいちサマーセミナーでも感じましたが、市民による市民のための文化・芸術セミナーを開催して裾野を広げることと、参加のハードルを下げて施設を十二分に利用してもらうこと(市民交流のスペースとして利用)が必要と感じました。会館に関しては、直近の空き日は安く貸し出して稼働率を上げるなど、民間の手法も取り入れながら「まずは、施設を使ってもらう」ことを目指しても良いのではないかと思い至りました。

 

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寄り道〜紫波町 オガールプロジェクト〜

 私は、視察希望地を3か所ほど出したのですが、先方の都合が合わず全敗でした…しかし、1か所だけ、今回の道程で寄れそうだったので、視察が終わってから行ってみました。

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場所は、岩手県紫波町。オガールプロジェクトと呼ばれる公共と民間が連係した施設で、駅前に役場や図書館、子育て支援センター、カフェ、産直マルシェ、バレーボール専用体育館やホテルが集積しています。

 

【稼ぐインフラ】

 公共施設は採算性を度外視して作られることが多く、補助金を目一杯使い、その後に発生するランニングコストを考えずに稼働が始まります(長い目で見ると、施設の維持管理費がとても必要となる)

 こちらの施設では、身の丈に合った施設となるように、入るテナントから決めて、建物の規模や建設費用を算出。補助金で立てるのではなく、民間が主導となって建設し、公共施設部分を自治体に売却するという斬新な手法で始まりました。

 体育館がバレーボール専用で作られているなど、人を呼び込むための仕組みが随所に散りばめられ、人口3万人の街に何十倍もの人が訪れています。

 

 と、ここまでが前知識。この日はあいにくの雨で、なおかつ公共施設部の閉館日でした(さくらホールに続いて、間が悪い…)そのためなのか、人はまばらで、施設の盛り上がりを実感することはできず…「情報と実際が異なることもある」、という学びがありました。

 オガールプロジェクトが、現在、どうなのか?は、継続してチェックしていく必要があります。そして、生かせる部分は、当市での公共施設に繋いでいきたいと思いました。

 

つづく。

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愛知サマーセミナーの講座で、高校生につっこまれた。

週末に、愛知サマーセミナーに参加してきました。

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愛知サマーセミナーとは?

愛知サマーセミナーは、20年以上続いている地域市民と学校が結び付いた【市民参加型セミナー】です。特徴は、誰でも先生になれ、誰でも生徒になれること!自分の教えたいことを教え、学び合いたいことを学べる、学校とはひと味違った学びの場なのです。

 

講座は、「写真の撮り方」などザ・セミナー的なものから、「作業療法士ってなに?」など職業紹介的なもの、「5分だけ ボクの話を 聞いてください」など不思議なもの、「ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さんや元中日ドラゴンズ選手の川上憲伸さん、TRFのSAMさん」など著名人を招いたものまで多種多様。

 

約2,000種類の無料公開講座が開かれ、3日間で6万人の参加を見込んでいます。1日で稲沢市の全市民が会場(大学や高校)に足を運ぶ計算です。なんでも稲沢市スケールに当てはめるのは私の悪いクセですが、すごい人出ですよね。

 

マニアックが生む価値。

私は、「他人の“好きなこと”」にとても興味があります。

それが、自分とは接点のないことでも、「私はこれは大好きなんだ!」って熱量で訴えかけられると、つい耳を傾けたくなります。TV番組の「マツコの知らない世界」で、嬉々として自分の好きなこと(ジェットコースターとか、アニソンとか)を語る人なんてまさにそうですよね。

(あまりにマニアックすぎて)ちょっと引きつつも、おもしろいなあと感じます。愛知サマーセミナーは、「自分の好きを誰かに届けることが出来る場」で、「誰かの好きを感じられる場」でもあります。

 

高校生のリアル。

さて、そんなセミナーにおいて、私はある講座の助手を勤めました。セミナーをやる側ですね。テーマは、「若者の投票率を上げるためには?」で、高校生7名、中学生1名が参加してくれました。

 

マニアックなテーマなので、来てくれる学生は「18歳なったら投票行きます!選挙権早く欲しいっす!」みたいな人たちかなあと思っていましたが、実際はフツーの、今風の、高校生でした。

投票率」とかテーマで言ってるのに「投票はめんどくさくて行かない」「お金もらえるなら行く」とか平気で言ってきます(笑)義務感とか、必要性とか、そんなの抜き。でも、そんなものなんだろう、私も高校生の時はそうだったし、彼らの素直な気持ちなのだろうと思います。

 

生活との接点。

彼らは“衆議院”とか、“比例区”とか、「単語の知識」は持っていて、ただ、それが実際は何なのか、自分の生活とどう結び付くのか分からなくて、「知識になっていない」印象を受けました。

 

選挙を生徒会の役員選挙と言い換えたり、校則を自分たちで作れるなら、その話し合いの場に代表者を出したくない?、SMAPとか好きなアイドルや親が出たら選挙行きたくならない?ということは、ただ、出ている人を知らないから興味が湧かないだけじゃない?

など、彼らがイメージしやすい言葉に変換すると、すこし納得する顔が見られました。

 

 

20代当選議員がする主権者教育。

親が選挙に行くと、子どもの投票率が上がるというデータがあります。

でも、高校生の時に主権者教育が行なわれれば、たとえ親が行かなくても、彼らは行くと思う。そして、彼らが第一世代となって、次の世代の投票率に繋げていけると思う。

ですから、彼らの知識を「知っている」から「分かる」に変えていくサポートはとても意義のあることです。

政治を、彼らの生活と結び付ける。それを、彼らの分かる言葉で伝えることが、私はできると思います。というか、たぶん得意です。ですから、高校生を相手に主権者教育を担当したい!と思いました。

 

誰かが、「じゃあ、やって」とチャンスをくれれば良いですが、そんな簡単にはいかないので、なんらか方法を探っていきます。

 

 

そして、自分の好きを発信・受信する場が、身近に作れると良いなとも思いました。いなざわサマーセミナー的なね。やりたいことばかり、どんどん増えていくけど、「それおもしろそう!」という人と繋がって、実現していきたいな。 f:id:shichioh:20170717224227j:plain

しち おう/志智 央
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