稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

視察〜岩手県北上市・学生の合宿に対する補助金編〜

 以前に、他自治体で行なわれた政務活動費の不正を取り上げました。

shichioh.hatenablog.com

 

 この中で、稲沢市も年2回ほど会派(議員のグループ)で視察があると書きましたが、昨日から2泊3日でそれに出ています。情報公開の鬼になるべく、どんな自治体を訪れ、どんなことを学んでいるかをまとめます。

 

岩手県北上市〜学生の合宿に対する補助金

 朝5時台に起床し、新幹線で5時間ほど揺られて、岩手県北上市へ向かいます(空港からの交通の便が悪く、新幹線での移動)外は大雨で、愛知の雨男を盛大に迎えてくれています。

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【概要】

 視察先の北上市は、市外から訪れる学生の合宿に補助金を出しています。

 「なんで市外の人に市のお金を出すの?」という素朴な疑問が浮かびますが、市の狙いは、①市内施設の利用や宿泊でお金を落としてもらう、②訪れた学生に市民との交流を義務づけることで、市民と文化・芸術との接点を増やす、にありました。

 

【実績】

 実際に、約100名の部員を擁する高校の吹奏楽部が訪問。市内の高校生と共に練習するなど交流を図りながら合宿を行ない、練習方法を伝え合ったり、ライバルとして大会でまた会おうと奮起し合ったりしたそう。今後、小中学校への訪問や市のホールでの発表会やワークショップへ繋げて、多くの市民を巻き込んでいくことを計画しています。

 

 市の文化ホールは全面ガラス張りで、周りから活動の様子が見えるよう設計され、「文化・芸術を自分のものとして楽しもうよ!」という気概を感じました。実際、文化ホールは夜遅くまで多くの人が訪れ、20を超える貸しホール&貸し部屋は稼働率が100%近い場所もあるそうです。

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(年中無休のホールなのに、視察日に保守点検日がバッティング…誰もいない…)

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(音楽スタジオもあり、専門スタッフが常駐し録音もできる。練習は外から見える)

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(ホールも、外から丸見え。一級建築士の市長がこだわりを持って設計されたそう)

 

【文化を創る〜当市への応用〜】

 補助金はあくまで一つのツールで、市民の文化・芸術への意識を高めることと、街おこしが主目的だと感じました。稲沢市も文化創造都市!と銘打っているのですが、文化ホールには貸部屋はないし、限られた人しか芸術・文化に携われていない印象を受けます。

 

 あいちサマーセミナーでも感じましたが、市民による市民のための文化・芸術セミナーを開催して裾野を広げることと、参加のハードルを下げて施設を十二分に利用してもらうこと(市民交流のスペースとして利用)が必要と感じました。会館に関しては、直近の空き日は安く貸し出して稼働率を上げるなど、民間の手法も取り入れながら「まずは、施設を使ってもらう」ことを目指しても良いのではないかと思い至りました。

 

shichioh.hatenablog.com

  

寄り道〜紫波町 オガールプロジェクト〜

 私は、視察希望地を3か所ほど出したのですが、先方の都合が合わず全敗でした…しかし、1か所だけ、今回の道程で寄れそうだったので、視察が終わってから行ってみました。

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場所は、岩手県紫波町。オガールプロジェクトと呼ばれる公共と民間が連係した施設で、駅前に役場や図書館、子育て支援センター、カフェ、産直マルシェ、バレーボール専用体育館やホテルが集積しています。

 

【稼ぐインフラ】

 公共施設は採算性を度外視して作られることが多く、補助金を目一杯使い、その後に発生するランニングコストを考えずに稼働が始まります(長い目で見ると、施設の維持管理費がとても必要となる)

 こちらの施設では、身の丈に合った施設となるように、入るテナントから決めて、建物の規模や建設費用を算出。補助金で立てるのではなく、民間が主導となって建設し、公共施設部分を自治体に売却するという斬新な手法で始まりました。

 体育館がバレーボール専用で作られているなど、人を呼び込むための仕組みが随所に散りばめられ、人口3万人の街に何十倍もの人が訪れています。

 

 と、ここまでが前知識。この日はあいにくの雨で、なおかつ公共施設部の閉館日でした(さくらホールに続いて、間が悪い…)そのためなのか、人はまばらで、施設の盛り上がりを実感することはできず…「情報と実際が異なることもある」、という学びがありました。

 オガールプロジェクトが、現在、どうなのか?は、継続してチェックしていく必要があります。そして、生かせる部分は、当市での公共施設に繋いでいきたいと思いました。

 

つづく。

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