稲沢市議会議員のしちおうです。
大変遅くなりましたが、6月議会の一般質問(市政について、質問および提言を行なう場)振り返りの最後のテーマ「不妊治療」についてまとめます。
はじめに。
2019年、不妊治療によって誕生した子どもの数は過去最多を更新。
およそ14人に1人が不妊治療のうち、体外受精で生まれた計算になります。
夫婦の1/3は不妊に対して不安を抱え、1/5は検査や治療に至っているとも言われ、現代社会でいかに不妊に悩んでいる人が多く見えるのか、ということが分かります。
保険適用の拡大。
今年4月、国はこれまで一部に限られていた不妊治療の保険適用を拡大しました。
具体的には、図の通り。
不妊治療には、一般不妊治療と、生殖補助医療の2種類がありますが、これまで検査や原因疾患への治療のみに限られていた保険適用が、4月からは一般不妊治療と生殖補助医療の基本治療も保険適用になりました。
保険適用で自己負担は原則3割。
さらに治療にかかった費用が一定額を超えた場合には、1カ月の自己負担額を抑える高額療養費制度の対象にもなりました。
残る課題。
一方で、妊娠が特に難しい人の治療効果を上げるには、保険の適用範囲を超えた治療が必要になる時があります。保険適用の診療と保険適用外の「自由診療」とを組み合わせることは禁止されていて、保険適用分含め全額が自己負担になります。
つまり、保険適用により不妊治療のハードルは大きく下がったものの、いまだ妊娠の可能性を高めるにはお金が必要という課題は残っているということ。
一方、稲沢市は17年前から独自の補助金制度を設けているため、その制度の中で支援からこぼれ落ちる人を救えないか?を問い、改善策を提案しました。
・稲沢市独自の補助制度
2005年スタート。
2017年〜2021年度までの5年間の補助金の申請者数:582人。
内、妊娠に至ったのは、157人
一般質問の超要約。
・しちおう
稲沢市の補助金は不妊治療のうち、一般不妊治療のみを対象にしているね。
上限額は50万円と、全国的に見ても超高い。でもさ、そもそも一般不妊治療で50万円までかかるのかな?
たとえば、一般不妊治療の中で元々保険適用されていた「タイミング法」は自己負担が数千円。人工授精は保険適用により1万円前後。上限額50万円は聞こえは良いけど、実態に即していないんじゃないかな。
補助金額の最高額と最低額、そして平均値は?
・市役所 担当部署の答弁
2017年〜2021年度までの5年間で、最高額は約19万円。最低額は3千円。平均額は約4万円。
・しちおう
上限額の50万円とは大きな開きがあるよね。
しかも、この額は保険適用前にものだから、一人当たりの補助金額は今後もっと減る。
だから、これまで一般不妊治療だけだった補助を生殖補助治療に広げたらどうだろう?
保険適用されるとは言え、体外受精の自己負担額は1回で、10万円前後かかる。中には、今回の保険適用拡大によって国と県の補助金が廃止されたため費用負担が増すケースもある。
ぼくは稲沢市が早くから不妊治療の補助金を始め、しかも全国的にも珍しい上限額50万円としたことに、非常に強い思い入れを感じているよ。だからこそ、この思いに叶う制度にしていってほしい。市長はどう考える?
・加藤市長答弁
一般不妊治療の補助上限額50万円に対し、申請件数は多いものの最高額でも20万円にも満たない実績であり、制度の見直しも必要。
新たな取り組みに移る市もある。これまでの実績を分析した上で、他市町村の動きも研究し、いつからと明言は出来ないが生殖補助医療にも補助が出せるように考えていきたい。
・しちおう
一般不妊治療の補助割合は現在1/2だけど、これを引き上げることで、稲沢市に住んでいれば一般不妊治療まではお金を気にすることなく行えますよ、という強いメッセージを込めるやり方もある。今年度の保険適用の拡大に伴う変化を見定め、新たな制度設計を作り出してほしい。
以上、報告でした。
(他にも、不育症に対する支援、不妊・不育経験者による相談事業等にも触れました。詳細は後日公開される録画映像を見てもらえると嬉しいです!)
今回、どうしても実現したかった「稲沢市独自の補助制度の拡充」は、どうやら前向きに考えてもらえるようで、本当に、嬉しいです。不妊症・不育症への支援は、ぼくにとって身近で、重要で、今後の政治活動におけるテーマの一つになりそうです。
保険適用が拡大されてどういう変化が起きるのか。当事者は何に困って、どんな助けがほしいのか。を継続して見ていこうと思っています。
全3回におよぶ一般質問の振り返り。最後までお付き合い下さって、誠にありがとうございました!!!!