稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

読み書きの学習障害 ディスレクシアへの支援

稲沢市議会議員のしちおうです。

6月議会での一般質問(市政について、質問および提言を行なう場)が終わりました。

どのような内容であったか、⑴ ディスレクシア、⑵  UDフォント、⑶ 不妊治療の三回に分けて簡単に振り返ります。初回は読み書きの学習障害 ディスレクシアについてです。

 

はじめに。

ディスレクシアはコミュニケーションが難しい子どもである「自閉症スペクトラム」や落ち着きがない子どもである「注意欠陥多動性障害」と同じ発達障害の一種です。

知的に遅れがなく、言葉の理解も普通なのに、読むことと書くことが苦手で「読み書きの学習障害」と言われています。

 

著名人ではハリウッド俳優のトム・クルーズさんがディスレクシアであることを公表されていて、文字を目で理解することが困難であったため、周りの人に台本を読んでもらい、セリフを暗記して映画撮影にのぞんでいたそうです。

 

ディスレクシアの見え方。

具体的にはどのように文字を捉えているかと言うと、数字の「6」とアルファベットの小文字の「b」の見分けが付かなかったり、図のように文章がゆがんで見えたり、にじんで見えたりするそうです。

いやー…この状態で文章を読んで下さいと言われても難しいですよね…

読めたとしても時間がかかるし、内容の理解まではおぼつかない。努力でどうこう出来る問題ではありません。

 

ディスレクシアの原因と問題。

ディスレクシアの原因は、先天的な脳の機能障害といわれています。

しかし、目には見えない障害であり、認知度も低いために、本人や周りもそうだと気付かず、読み書きが出来ないのは本人の努力が足りないからだと言われてしまうことが多いです。

 

学校でも家でも叱咤激励され、良かれと思って書き取りなどの課題を増やされる。

しかし、読み書きに苦戦する子どもたちにとってはそのことが困難の解決にならないばかりか、学習に対する苦手意識を助長し、自尊感情を損なったり、不登校などの二次的な障害に繋がったりします。

 

ディスレクシアの割合。

2012年に文科省が行った全国調査では、通常学級に在籍する児童生徒の4.5%が学習面に著しい困難を示すと言われています。

 

稲沢市の現在の児童生徒数は1万622人。文科省の調査結果に照らし合わせれば、約500人はお見えになる計算になります。稲沢市では、学習面に著しい困難を抱えている子をどのように把握しているのでしょう?

 

教育委員会の回答

市内の小中学校では、年に2~3回程度、気になる児童生徒に対して、スクリーニング検査を行い、ディスレクシアを含む学習障害自閉症スペクトラム注意欠陥多動性障害といった傾向がないか調査。その結果をもとに個別支援に繋げている。

 

目には見えない障害への対応。

コミュニケーションが苦手な自閉症スペクトラム、落ち着きがなく動き回ってしまいがちな注意欠陥多動性障害などと異なり、読み書きに困難を感じる児童生徒は様子からは分かりにくいので、支援の対象になりにくいです。

 

ディスレクシアに限らず発達障害の子どもが見落とされてきた過去を鑑み、全児童対象の簡易スクリーニング検査を今後の検討材料として頂くようお願いします。

 

合理的配慮の必要性。

当事者の一人は、「学校は1限から6限まで全部文字を書かなければならず、なにも楽しくない、自分が劣っているとばかり思い込んで、自信を失った。次第に教室で孤立して、いじめに遭うようになり、学校に行くのが怖くなった」と言います。

 

その子の場合、タブレット端末のキーボードを用いれば文字が書けることに気付き、1年がかりで学校を説得。筆記用具としてタブレット端末を使えることになり、生まれて初めて作文が書けたそうです。

その後は成績がぐんぐんと伸び、勉強も好きになったそうですが、なぜもっと早く気付けなかったのか?という問題は残ります。

 

2016年、障害に応じて可能な範囲でサポートを行なう「合理的配慮」が法制化されました。

ディスレクシアの症状の出方は人によって異なり、大きな文字にする、漢字にるびをふる、文字を読み上げるなどの支援で克服できた子もいます。

一部の高校受験や大学入試センター試験では既に、申請が認められれば、テストの時間延長や文字を拡大した問題用紙の準備、別室受験などの合理的配慮が得られます。

 

視力の悪い子がメガネをかけるのと同じように、このような配慮をして頂けないでしょうか?

 

教育委員会の回答

「合理的配慮」の考え方は、学校現場に少しずつ浸透している。

たとえば、落ち着きがなくなった時に、クールダウンできる場所を確保したり、書くことが困難な場合に授業の板書を写真で撮って送ったり、教科書を読むことが困難な場合にスリットの入った定規を当てて読みやすくしたりするなどの配慮が行われている。

これからも「合理的配慮」について学校と保護者が実施できることを共に考えていく。

 

ディスレクシアについて教員はもちろん、保護者へも情報発信を行ない、「どうも読むのが遅いな」、「真面目に何時間も宿題をしていたのに終わらなかったな」などを気にして見て頂き、早期発見・早期支援に努めて頂くことを要望します。

 

二つ目のテーマであるユニバーサルデザインフォント(UDフォント)は関連する項目ですが、長くなったので続きます。

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稲沢市議会議員 しち おう/志智 央
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