稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

学習障害「ディスレクシア」と合理的配慮、そしてユニバーサルデザインフォントの活用。

稲沢市議会議員のしちおうです。

今日は6月議会のテーマの一つにしようと思っている「発達障害の中の学習障害に分類されるディスクレシア」について触れます。

ディスクレシアってなに?

ほとんどの人が初めて聞く言葉だと思いますが、文字の読み書きに限定して困難さを持つ状態のことです。

たとえば、数字の「6」とアルファベットの「b」などの形が似た文字や、「b」と「d」、「p」と「q」などの鏡文字の見分けが付きにくいなどで、文章を読むのに時間がかかったり、間違えやすかったりする。

人によっては、文字が下図のように見えるそうです。この見え方では文章を理解するどころか読むこともままなりませんし、見ているだけで疲労してしまいますよね。

出典:「NPO法人エッジ」

 

ディスレクシア発達障害の中の学習障害に分類され、知的能力の低さや勉強不足ではなく、脳機能の発達に問題があります。

しかし、この障害は目には見えないですし、認知度も低いことから、文章が読めないのは努力が足りないからだと思われがちで、当事者は苦しんだり自信を失ったり、学習面でのつまづきから不登校など二次的な問題に繋がることがあります。

 

ディスレクシア。聞き馴染みのない言葉で、ごく少数の人のことなんでしょう?と思われるかもしれませんが、2012年に文科省が行った全国調査では、学習面に著しい困難を示す児童生徒は4.5%存在すると言われています。小中学生の約5%、20人に1人の割合で読み書きに困難を抱えているという事実。

著名人では、ハリウッド俳優のトム・クルーズさんは文字を目で理解することが困難であったため、周りの人に台本を読んでもらい、セリフを暗記して映画撮影に臨んでいたと聞きます。

当事者の声

ある当事者は、「学校は1限から6限まで全部書かないといけない授業が待っていて、なにも楽しくない、自分が劣っているとばかり思い込んで、自信を失った。次第に教室で孤立して、いじめに遭うようになり、学校に行くのが怖くなった」と言います。

その子の場合、タブレット端末のキーボードを用いれば文字が書けることに気付き、1年がかりで学校を説得。筆記用具としてタブレット端末を使えることになり、生まれて初めて作文が書けたそうです。

その後は成績がぐんぐんと伸び、勉強も好きになったそうですが、なぜもっと早く気付けなかったのか?という問題は残ります。

対応策

少なくない子どもが抱えるこの困難に対して、早期に手を打つためにはどうすればいいか。

まず一つ目は、学校での合理的配慮です。ディスレクシアの症状の出方は人によって異なり、大きな文字にする、漢字にるびをふるという合理的配慮で克服できた子もいるそうです。

本人と家族、学校でともに、「どうすればその子の抱える困難さを減らせるか?」を探っていく必要があります。時には前述したように、「前例がない」ことに取り組む必要が出てくるかもしれませんが、必要な手続きを踏めば誰しもが一番良い環境・方法で授業を受けることが出来る権利があることを実践していく必要があります。

・合理的配慮

障害者に健常者と実質的に同じ権利を保障するために,適切な調整や変更を行うこと(例:視覚障害者が試験を受けられるよう,点字の試験用紙を用意する場合など)

 

また、誰にとっても見やすい文字を目指して開発された書体「ユニバーサルデザインフォント・UDフォント」の使用が重要だと考えています。

ユニバーサルデザインフォント・UDフォントは、ディスレクシアの子どもだけでなく、高齢者や障害者、多くの人が容易に読み取ることができることを目指した書体になります。

 

出典:UD書体 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ 

奈良県生駒市教育委員会が2019年2月に、小学生116人を対象に行った実験によると、文章の正誤を判断する問題を、UDフォントと一般的な教科書体で36問ずつ解いてもらったところ、教科書体で66%だった正答率が、UDフォントでは81%に跳ね上がったそうです。


これはフォントの種類が学習障害の子だけでなく、すべての子どもの学習意欲を向上させることに繋がることを表しています。

2018年以降のWindowsには標準でUDフォントが入っているので、授業の資料やテスト問題、保護者に配布するプリント等でフォントの変更を導入出来ないだろうか、と考えています。

 

以上のことなどを次の6月議会で触れて、ぼくが病院勤務時代に関わっていた発達障害学習障害のことを知って頂きながら、彼らの困難さを少しでも軽減していきたいと思っています。

前段階でブログ読者の皆さんにはご紹介を。

 

議会の準備はまだまだこれから。頭から火が出そうですが、良い提言が出来るように頑張って考えて、調べて、書いて、直していきます!