稲沢市議会は、毎年9月になると役職の改選があります。
議長、副議長をはじめ、各委員会※の長やメンバーも含めてです。
※委員会:市役所の仕事内容は多岐に渡るため、議会は「委員会」という部会を作って、予算や議案の審議をする。委員会の数は自治体によって異なり、稲沢市は三つの委員会からなる。
そして、委員会が決まると、行政視察に出る、というのが稲沢市の流れとしてあります。当然、税金を使った勉強になりますが、どこへ行き、何を学んでいるのかは一般の人はほとんど知ることができません(行政文章の公開コーナーまで足を運べば、視察のレポートは見ることができます)
僕は議員になってからずっと、報告書に加えて、出させてもらった視察と勉強会をブログで公開してきました。視察に対して賛否両論あると思いますが、一般の人からすれば視察の事実自体を知らず賛否両論できる材料すらないというのが現状だと思います。
個人的には、委員会が立ち上がったから行くではなく、
稲沢市議会が進めている「市民意見交流会」「議員討論会」から市政の課題をピックアップ。委員会で深めながら、先進地を視察して磨き上げ、個人としてではなく議会として政策提言していくサイクルが出来ると良いと考えています。
その中で、全員で視察するのではなく代表者が赴き、その後全議員に報告したり、
現地を見ないでも良い内容であればテレビ電話で繋いで説明を受けたり、
視察のレポートをHP上で公開したりする流れも出来ると良いですよね。
そんな個人的な思いもありつつ、まずは視察ってどこに、何を見に行っているのかを知って頂くため、今回もレポートします!
■ 神奈川県小田原市:再生可能エネルギー事業
視察の希望は、委員からの希望を募りつつ、委員長・副委員長が決めます。
視察先の都合もあるので、必ずしも希望通りにはなりませんが、
初日は小田原市へ向かうことになりました。
小田原市は、東日本大震災の時に、東電の計画停電と放射能汚染の影響を受けました。
直前にならないと停電する地域が分からず、旅行のキャンセルが相次ぎ、持続可能なまちづくりのためには、再生エネルギーの利用拡大が不可欠だと身に染みて感じたそうです。
具体的には、再生可能エネルギーが地域で利用されるよう誘導する条例を策定。
・市内実施の再エネ事業に対して奨励金を交付
市内で仕事が起こると、税金が入ります。その一部を事業者に返すことで、
事業者は再エネ普及の一番の障壁である導入コストが抑えられます。
自治体はその企業が来なければ生まれなかった税収から支援金を出すため、
win-winの関係に。また、自治体、企業だけの動きに留まらぬように、
市民が参加する事業には奨励金を増額しました。
・エネルギー会社の設立
自治体に加えて、地元金融機関、商工会議所、エネルギー会社等が参加。
市民からもお金を募り、メガソーラーの建設や公共施設の屋根にパネルを設置。
他にも、農業と発電を兼ねるソーラーシェアリングなど、
エネルギーの地産地消を目標に、さまざまな取り組みを展開していました。
小田原市民が支払う電気代は、年300億円。その内、90%は大手電力です。
つまり、市民のお金が市外の企業に支払われています。
その内の10%だけでも地産地消に変えられれば、地域にお金が回るようになります。
そんな新しい経済循環を目指しているんですね。
ただ、現状の普及率は目標値である10%を大きく下回る2.3%。
専門的かつ前例が少ないためノウハウ作りに手間取ったり、パネルや蓄電池の導入コストが高かったり、国の施策(固定価格買取制度 等)の影響を受けて不安定だったり、
課題も多くあるようです。
稲沢市に置き換えると、耕作放棄地でソーラーシェアリングの需用があるのかもしれません。いずれにせよ、東日本大震災以降、エネルギーの地産地消や再エネの普及は急務となっていますし、これからの自治体運営は「地域でお金を循環させるシステム」が今まで以上に必要になってきます。
愛知県では、豊田市が似た趣旨の事業を始めるという話も耳にするので、それらの動向を今まで以上に注視していきたいと思っています。
長くなってきたので、二日目のレポートは後ほど。
しち おう/志智 央
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