稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

子ども時代は大人になるための準備期間ではない

先日、視察したユアフレンド事業(不登校支援)の特徴として、
不登校の児童を学校復帰させることを目的としない」があります。

事業創設に携わった先生が「なぜ、子どもに教育を受けさせるのか?」について語る中で、上記の特徴が生まれた背景も合わせて話されていたため、一部抜粋し記載します。


「なぜ、子どもに教育を受けさせるのか?」
“忘れ物をしない”、“決まりごとを守る”などの心を、子どもの内に養成して、大人になった時に困らないようにしておくためでしょうか。

子どもは、将来のために、今はつまらない勉強に耐えなければならないのでしょうか。

 

しかし、将来のために子ども時代があるわけではありません。
子ども時代は子ども時代を充実させるためにあるのです。

 

将来のためにつらいことも我慢すべき時代と考える方もおられますが、失った時間は返ってきません。その時間その時間を充実させてやると言うことが子ども時代の目的であると私は思いますし、「楽しい時間を過ごす」、その積み重ねが結果的に将来の役に立つのです。

 

不登校の子どもは今は学校に行く力がない」「学校でコミュニケーションを取る力がない」とすれば、その力をつけてやる。

それが、やがては学校に行く力を育むことに繋がる、そう考えれば不登校をしている今の時期は、将来のためにあるということになります。

 

将来のために今があるのではなくて、今は今のためにある。
不登校の子どもと一緒にいてなおかつ、学校のプレッシャーは与えずにその場で楽しい話が出来るということは教師にもカウンセラーにも出来ません。
大学生だから利害関係もなく、気楽に行ける訳で、年齢的にも近いので話も弾む。そういう活動で今を充実させていくことがユアフレンド活動ということです。

 

たとえば、不登校の期間が3年あるとして、その3年間、毎日誰とも会わずに一人で家で過ごした不登校の子どもと、週に1回は大学生が来て、その時は楽しい時間を過ごした経験を3年した子どもとでは、どちらが不登校の時代を充実して過ごせたかと言うことだと思うのです。

 (抜粋終わり)

 

本事業を多くの自治体が視察されるそうですが、同じような展開は出来ないそうです。その要因は、活動の根底にある上記の想いを持てているかどうかなのではないかと思います。
事業を始めた人の信念と、困難を乗り越えて蓄積された経験は、一朝一夕に真似出来るものではないと感じました。また、周囲の大人を活用することも出来る中でなぜ大学生を使い続けたのか?にも納得がいきました。

 

子ども教育で何が重要なのか改めて問い直す必要があると感じましたし、様々な事業を参考にはしながらも、自分たちで試行錯誤して道を切り開いていくことでしか効果的な事業は出来ないのかもしれないと思いました。


そして、「今は今のためにある」、今をないがしろにしない姿勢は、子どもだけでなく大人にとっても大事なことかもしれませんね。