※12月17日追記
国会で水道法の一部を改正する法案が通りました。
日本で生活していると、どこでも、良質の水が手に入ります。
当たり前に存在しているので、水道のことってあまり考えたことがないけれど、
今回のことをキッカケに、ちょっと考えてみましょう。
水道法の一部を改正する法律案のメリット・デメリットは?
今回成立した水道法の改正は、主に5つの項目からなりますが、一番の大きな変更点は、水道の民営化です。
水道法の一部を改正する法律案の概要:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/193-26.pdf
水道事業を民間企業に任せるということですが、メリットは何かと言うと、
資金・人材・ノウハウ面で自治体以上の働きが出来る可能性があることだと思います。
ライフラインである水道の規制を緩和して、効率性を高めるわけですね。
一方で、デメリットは、
企業は当然、利益を追求しますし、市民の生活を補償する義務もありません。
したがって、水の価格が上がったり、水質の基準が引き下げられたり、
施設への投資を減らして目先の利益を追ったりする心配があります。
海外では民営化によって水道料金が数倍になる、水道管が破裂するなどの失敗例もあって、ライフラインが崩壊。結果、再公営化している国もあります。
うまくいった例と、そうでなかった例、そしてその背景は何か?を考える必要があります。
民営化という言葉の落とし穴
ただ、今回の日本の改正案は厳密には民営化ではなく、
企業が持つのは運営権のみで、水道施設の所有権は市町村が持ちます。
これによって、ある程度は自治体の目が行き届く状態にあると思いますが、
運営によって生じる利益だけが企業に流れ、一番お金のかかる水道管含めた施設の維持監理費に資金が向かなかったり、長期的な運営プランを持たずに赤字化した途端に手を引かれて負の財産だけが自治体に残ったりすることを、個人的には心配しています。
そもそも、なぜ水道法を改正しなければならないのか?
今回の話は、降って湧いたような話に感じられるかもしれませんが、
実は各自治体がこれまで抱えてきた水道事業の課題が背景にはあります。
人口減少で水の需要は減り続けていて、それに伴い水道料金の収入も減ってきました。
しかし、水道管含めて施設は老朽化しており、ちょうど交換の時期が来ています。
今後もそれらの維持監理は続くため、収入と支出のバランスが合わない状態なのです。
人手不足も深刻化する中で、自治体だけでは運営が立ち行かなくなってきています。
稲沢市でも水道料金の収入は減り続け、施設の管理費は増え続けています。
したがって、ライフラインとして絶対に維持しなければならない水道を、
持続可能なものにするにはどうすれば良いのか?は議論しなきゃいけないテーマです。
ただ、今回の法案審議の中で、水道を持続可能にするための話し合いが充分にされたとは僕は思えなくて、法案を通すことが目的になり、議論が深まらなかったと感じます。
与野党含めて、何が課題で、解決する手段として今回の改正がなぜ必要か、そして改正時の国民への影響はどうか、「充分なデータ」を揃えた上で話し合ってほしかった。
民営化はあくまで手法の一つで、自治体がそれを行なうのかどうかは決めることなります。今のところ、稲沢市は民営化の動きを静観する構えで、12月17日の委員会において市長も公営のままでいくと言及しました。
今後どのような展開になっていくのか、そして、長期的に見てライフラインを維持できるのはどの手法なのか、市民の皆様の生活に関わることなので、議員として引き続き動きを注視していきます。
動きがあればまた報告しますね。
稲沢市議会議員 しち おう/志智 央
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