まず、本題に入る前に。
視察で先進事例や稲沢市が導入予定の事例を先行して学べるのは勉強になります。
しかし、視察にかかる旅費等の大部分は税金です。
視察にまつわる全国の議会の不祥事もあって賛否両論あると思いますし、僕も考えるところがあって、個人で行く勉強会や視察のほとんどは自費で出ています。
現状で僕がしていることは、
成果物として報告書の作成はもちろんですが、視察した項目を、稲沢市の施策に生かせるよう議会で取り上げています。また、少しでも「何をしているか」が見えるよう、今まで全ての視察をブログに書いてきました。
賛否両論あることも、「議員が何をしているか?」が見えないと議論にすらなりません。
僕に今できるのは、それらをオープンにすることで、「視察でこういうことしてるのね」と伝えることと考えています。
さて、高松市では、若者が市長になったつもりで施策を提案する制度を始めました。
「政策コンテスト−未来高松市2017−」です。
事業の経緯
事業の背景には、人口減少が進む中で、若者が市外へ流出してしまうことと、
市政への関心が特に若年層で低かったことが影響しています。
どの自治体も抱えている課題ですが、
高松市は次代を担う若者に、「街の課題を調べ、政策を練ること」を通し、街に関心を持ってもらう(そして、あわよくば、コンテストで優秀な政策を募る)取り組みを始めました。
課題は、行政が提示することで回答を求めるのではなく、参加者に探してもらいます。
また、市の財政的な事情もオープンにした上で、夢だけに終わらない実現可能な政策を募っていました(一週間に一回、連絡を取り合って進捗状況や疑問を確認して進めた)
参加状況
この事業の特色としては、10代が参加していることです。
内訳:中学生5チーム、大学生1チーム、社会人4チーム
行政の進める若者向けの施策は、20代、時には30〜40歳がメインになることもあり、若者と呼んで良いのか3秒ほど迷うことが多々あるのですが、こちらは正真正銘の若者。
周知の仕方としては、ホームページ・広報誌、新聞、SNSだけでなく、受験がない中高一貫校に声かけしたり、学校へチラシを配ったりしたそうです。
政策は、市職員や実際の経営者の話を聞きながら、実現性などに関するアドバイスを受け、磨き上げたそうです。そして、市長をはじめとした100名を超える観覧者の前でプレゼン。当日は動画で生中継を行ない、1〜3位を表彰していました。
開催結果
大賞は、中学生チーム(!)政策は、主に2点でした。
①Smile Weekの制定:平成27年度より、高松市の小中学校では夏休みが短縮された。
本政策では休みを元に戻した上で、高松市ならではの名物や文化に触れるための祭週にする。そして、イベントでは学生が主体となって、企画・運営を行なう。
②起業支援:法人格が取得できるのは、15歳から。中高生が起業するためのサポートを行なう。
現在、出されたアイデアの内、いくつかは実現に向けて検討を行なっているそうです。
そして、今後は今回参加者にいなかった高校生、少なかった大学生への参加へ向けて教員や学生に直接アプローチする方法を考えているとのことでした。
(未来高松市2017|未来自治体 - 若者による自治体デザインコンテスト)
視察を終えて
夏休みを増やすアイデアは子どもらしい(笑)ですが、Smile Week中に行なう内容は若者が地域を好きになるものだと思います。起業支援も、「市内で起業し、経営者になる」という今まで子どもの頭の中には無かったであろう人生の選択肢が生まれる点が良いとと感じました。
政策を考えることを通して、街のことを真剣に考え、同年代や異なる年代(中学生−大学生−社会人)と触れ合うことは良い経験だったでしょうし、彼ら(と友人、家族)はきっと今後も街への関心が増すでしょう。それは、事業の結果として今は見えないけど、将来生きてくると思います。
稲沢市では、中学生が学校教育の中で「街の課題と解決策」を考える事業をやっています。今後、課で分断された似た取り組みを統合(学校教育課−ふるさと新発見学習−、選挙管理委員会−主権者教育−)して、いろんな世代や職業との関わりを通じ、政策を練るところまでバージョンアップできると良いです。
勉強させてもらえて感謝です。取り急ぎ、視察の簡単な報告を。