稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

バニラ・エアと車椅子ユーザーのどちらが悪いのか。

日本の格安航空会社 バニラ・エアが、下半身不随の車椅子ユーザーの搭乗を拒否した。

大体のあらましは、以下の通り。

・往路の出来事

バニラ・エアは、空港の搭乗カウンターで、「降機する際、タラップになるため歩けない人は搭乗できない」と車椅子ユーザーに説明。ユーザーは、「同行者の手助けで上り下りする」と答え、同行者に車椅子を持ち上げてもらって搭乗した。

・復路の出来事

帰る際は、空港スタッフより「往路で車椅子を担いでタラップを下りたことは同社の規則違反であった」と言われ、同行者が往路と同様に車椅子を担ごうとしたが、スタッフが制止。男性は車椅子を降り、自力で階段式のタラップを這い上がった。

 

人々の反応。

このニュースを見聞きした人の反応は、

「なんて酷い会社。かわいそう。バニラというより、ビター・エアだ!」などと、会社に対して、批判が出る一方で、車椅子ユーザーにも「クレーマーだ。バニラ・エアの方が被害者。障害を理由に無理難題を言う、障害者の敵」などの声も上がった。

 

批判の理由は、そのユーザーが、搭乗拒否をされることを恐れ、バニラ・エアに事前申請をしなかったためだ(バニラ・エアは、車椅子利用者に向け、事前に歩行状況や車椅子の仕様、付き添いの有無などの確認をお願いしている)

事前申請せず強行し、拒否されたのは自業自得ではないか?ということらしい。

 

悪者が決まれば、車椅子ユーザーは飛行機に乗れるようになるの?

車椅子の搭乗拒否は、法律上で問題があるとか、ユーザーが事前申告したとして拒否されただけとか、困っている人の声で社会は変化してきた(バリアフリーのトイレ、ノンステップバスマタニティマーク等)とか、いろいろ論点はあるけれど、

 

私の率直な感想は、「どちらが悪いか決めたとして、何になるの?」だ。

“どちらが悪者か”を決めることに心血が注がれているけれど、この議論の先には何の答えも待っていない。評論家風の一般人(当事者じゃない人たち)が、正義感を振りかざすのは、いろんな人が傷付くだけで、本当に必要な「同じように悲しむ人を作らない」という目標は達成されない。だから、私はこういう議論を見ると、残念な気持ちになる。

 

 

批判よりもアイデアを。

どうせ頭を悩ませるなら、この問題を解決するアイデアを出し合った方が良い。

たとえば、バニラ・エアでは、この問題の後に階段昇降機など根本的な解決法※を導入したけど、トイレなどそれ他の部分にも車椅子ユーザーの意見を取り入れたり、車椅子だけの旅行企画を出したり、あるいはユーザー側も事情を考慮して事前申請を徹底したり、できることはたくさんあるはずだ。

 

きっと、もっと良いアイデアがある。

この出来事を意味のあるものに変えるには、悪者探しは必要ない。

第三者は、関係のない人たちを叩くなんて、時間と頭の無駄使いはせずに、どんな人でも移動する自由と喜びを得られるよう、彼らの問題を解決することに力を使ってほしい。少なくとも、私はそういう部分に自分の力を使いたいと感じる。

 

※昨年4月に施行された「障害者差別解消法」が根拠となり、この不備は改善されました。

この法律は、障害者が健常者と比較して不利益にならないよう、政府や地方公共団体などに、合理的配慮をするよう義務化(民間は、努力義務)しています。当自治体でも、窓口で手話通訳を受けられるなど、少しずつ社会的な変化が起きています。

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しち おう/志智 央
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