稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

原発事故でいじめ〜大人から子どもへ引き継がれる言葉〜

原発事故で福島県から自主非難した子どもが、学校でいじめを受けていたと報道された。「菌」扱いを受けたり、「賠償金あるだろう」と金銭を要求されたりして、教員や市教育委員会などの大人も、問題を見て見ぬふり。結果的に、いじめが長期化し、被害者は不登校にまで追い込まれていた。

 

事故により住まいを追われて、様々なものを捨てて辿り着いた場所で待っていたのは、「大変だったね。もう心配ないよ」という労いではなかった。心ない言葉や暴力で傷付けられた被害者の心中を思うと言葉がない。同時に、本来は安全・安心であるべき学校が、危険な場所になった時に「不登校」という手段で逃れてくれて本当に良かったと感じる。

 

 

今回の事件を聞いて恐ろしいと感じたのは、子どもから発せられた心ない言葉なのだけど、それは本当に子どもから出ているのだろうか。

確かに、直接言ったのは加害者(子ども)だけど、「賠償金あるだろう」という言葉を、まっさらな彼らは知らなかったはずだ。単語と、その言葉が持つ攻撃性を、どこかで学んでいる。推測でしかないけど、おそらくそれは親など大人を見て知ったのだろう。誰かが、被害者や被害者の親を「放射能が」「賠償金で楽をして」などと言い、それを子どもが真似をして、引き継がれたのだと思う。

言うなれば、間接的にそれらの言葉を吹き込んだ大人も、いじめに加担している。

 

一方で、ある調査では“職場の精神的なキツさ”が約20年前よりも10倍になり、“いじめ・嫌がらせ”の相談件数も桁違いに増えているそうだ。子どもだけでなく、大人を取り巻く環境も厳しいものとなっている。大人の世界の状況が悪化したことが、子どもの世界へ悪い影響を与えているのだと思う。

 

 

子どもも大人も、いろんな不満や悲しみを抱えていて、つらい。

学校の現場だけでなく、いろんなところにマイナスの感情が渦巻いていて、「自分と異なる人」を迫害することに繋がっている。それでは何の解決にもならないが、そう分かっていても止められないくらい不満が膨らんでいて、ヘイトスピーチや排斥主義、EU離脱、トランプ次期大統領の当選など、全てに連なるように感じる。

 

 

 

では、どうすれば良いのだろうか?

攻撃的な言葉は、いくら封じ込めようと思っても世の中に蔓延していて止めることはできない。何も知らない子どもたちも、いつかは人を傷付ける言葉を知ることになる。

 

ただ、それでも、どんな言葉を使うかは自分で決めることができる。傷付ける言葉よりも、受け入れたり助けたりする言葉の方が良いと、伝え続けるしかないのだと思う。花に水を与えるように、次の世代には暴力的な言葉よりも優しい言葉をかけて、育てていきたい。

 

 

前述した子どもの手記には、「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」とあった。厳しい状況でも、枯れずに咲いた彼の放つ言葉を多くの人が受け止めて、自分の言葉で周りに届けていくことが大切だと思う。

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