稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

無意識の内に持つ偏見を超えて

以前、性的少数者セクシャルマイノリティLGBT)に関する記事を書き、自分がいかに知識がないかを思い知ったので、勉強会に出席しました。

【過去記事:LGBTへのいじめ

 

性的少数者セクシャルマイノリティLGBT)って?

「体の性別」「心の性別」「好きになる性別」の各概念で自分の性別の在り方を考えたもので、同性に惹かれたり、自身の性別に違和感があったりする人を総称して呼びます(分類する行為自体への違和感は今回は置いて、表記)。

下図を見ると、私のように体・心が男性で、好きになるのが異性(女性)である以外に、たくさんの在り方があることが分かります。

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なぜ、私が性的少数者に対して学んでいるのか。一番の理由は、自分の性別に違和感がある人、そんな“普通とは違う目立つ人”が学校などの閉鎖された空間において、いじめなど攻撃の対象になりやすいからです。

誰にも相談できず、自分自身を否定してしまう人がいるのは用意に想像でき、実際に同性愛を学友に暴露されて自殺に至った痛ましい事件もありました。きっと、知らないだけで、多くの場所で多くの人、特に子どもが苦しんでいるのだと思います。

 

 

性に限らず、少数派だけど、確かに存在する人たちがいる。私自身、不登校という少数派に属して、また、病院で障害を持つ人たちと接してきて、至った考えがあります。それは、「少数派が生きやすい社会は、多数派にとっても生きやすい」ということです。

そのためには、知らなければならない。彼らが何に困り、何を望んでいるのかを、まず知りたい。そう思い、「青少年理解のためのLGBT」という勉強会に参加しました。

 

ジェンダーバイアス −無意識にある偏見−。

みなさんは、こんな相談を受けたら、どうしますか?

「私には、子どもがいます。しかし、パートナーは医師で帰りが遅く、公務員の私が育児・家事を両方をこなしています。身体・精神的に厳しく、離婚を考えています。」

 

離婚に言及する前に、まず、二人の関係性は、どんなものでしょう。

おそらく、育児と家事をこなす“私”は女性で、“医師”は男性と想像したのではないでしょうか。実は、男女が“逆”もあり得ますし、私は女性で、“パートナー”も女性かもしれません。

こうした性に関する役割の決め付けを、ジェンダーバイアスと呼ぶそうで、私たちは、無意識の内に、医師は男性、看護師は女性、育児と家事をこなすのは女性、あるいは性別は男性と女性しかあり得ない、という偏見を持っています。

少なくとも私は、この問いを受けて、自分自身の中にある偏見を知りました。

 

正しさの押し付け。

男だから、女だから、同性愛者だから、障害者だから、様々な偏見を持って、私たちは人を見ています。多数派の意見を正論のように振りかざして、そこから外れる人に「そんな風ではダメだ」と思っている。そして、自分自身は「そんな風にはならないように」と恐れながら生きている。

もうそんなのは止めにして、女だからって育児をしなくても良いし、男だからって家事をしても良い。結婚したって必ずしも子どもがいる必要はない。それがたとえ、多数派や普通から外れていようとも、誰が、誰を好きになろうが勝手だし、人の自由を許容した分、自分も自由にやれば良い。逆に言うと、私たちが抱える息苦しさの大半は、私たちが誰かの自由を制限しているからなのかもしれない。

 

あなたは存在しても良い、を自分にも向けて。

彼らに、Yesと言うことは、自分にも、Yesと言うことと同じだと思います。どこかで必ず少数派の部分を持つ自分に、それでも良い、大丈夫だって、言えることと同じなのだと思う。だからきっと、少数派が生きやすい社会は、多数派にも生きやすくて、私たちの目指すべき方向性なのだと思います。

【過去記事:多様性が認められるための戦い

 

 

勉強会では、中・高生の当事者の約7割がいじめを経験し、自殺を考えるハイリスク層と言われていました。自分を大切にできない精神状態に陥りやすく、その後の人生、仕事などに大きな影を落とす。しかし、気軽に相談できる環境はなく、学校への相談によって、周囲に知られる二次被害(アウティング)に遭うケースもあるそうです。

多くの場合、当事者(特に子ども)は知識がなく、自分の心と体のことに不安を募らせています。適切な知識を伝え、新たな選択肢(同じ状況にいる人、前向きに生きられている人がいること)を示すことが必要で、なによりも、揺れ動く彼らの想いに寄り添う姿勢が重要なのだと思います。

 

 

私にできることとしては、こんな小さな気付きを周りに伝えること、そして、まだ聞き慣れない性的少数者と言う概念と既存の概念(人権や男女共同参画、いじめ、職場環境など)とを絡めて、議会で取り上げていくことだと思います。

すぐには変わらないでしょうが、伝えて、知ってもらうことから始める必要があります。きっと、知ることは、理解への第一歩なのだから。

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