稲沢市議会議員 しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

ロストジェネレーションとゆとり世代:最近の若者論

「最近の若者は…」と言う言葉をよく耳にする。

否定的な意味合いで使われることが多いこの言葉を、私たちは上の世代から言われてきた。そして、私たちもまた、更に下の世代に同じことを話して、この言葉を周回させている。

本当に最近の若者は、“先人と比較して能力がなく、楽をしているのだろうか?”

f:id:shichioh:20160525222644j:plain

日銀のアンケート「家計金融行動に関する世論調査」を見ると、単身世帯、特に20代の苦境が鮮明になる。若年層での非正規雇用が増え、預貯金を持っていない人が多いのだ(単身20代の6割が資産ゼロと言うデータも)。上昇する物価に賃金は追いつかず、生活の厳しさが段々と増している。

 

正規雇用されたと思ったら、賃金不払いをするブラック企業であったり…。ちなみに、これは私の友人に先日起こったことで、ブラックバイトやブラック企業奨学金ローン地獄など、貧困に繋がる問題が身近なところにある。

 

 

「最近の若者は…」に続く言葉はたぶん、「大変だ」だ。苦労していると思う。

生まれてから一度も上り調子の日本を体感したことがなく、お金に対する不安を抱えていたり、学歴社会や就職難に見舞われ、自信を失っている人も多いと感じる。

 

これらは、上の世代の方にとっては、“人ごと”に聞こえるかもしれない。しかし、若者が活躍できない社会に未来はない。年金や保険は、次の世代が同数生まれるからこそ持続可能なのであり、若い世代の数が減り続けていることは、イコール上の世代にも大きな問題であるはずだ。

 

 

統計局の就業基本構造調査のデータを見ると、年間所得500万円未満の世帯では急激に子どものいない世帯が増え、居たとしても一人っ子の割合が高くなる。おそらく、この年間所得500万円が一つの壁であり、若者が充分な所得を得られるかが少子化を食い止める大きな鍵なのだと思う。

 

 

「最近の若者は…」の一文が、昔みたいに冗談めいて聞こえるくらいの世の中にしたい。今はこの言葉に、若者は笑うことができない。