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しちおう ブログ

不登校を経て、作業療法士として病院に勤務、現在は稲沢市議会議員として活動する「しちおう」のブログです。

名張市視察〜アグリー農園とまちづくり〜

友人らと、三重県名張市の農園と市役所を視察しました。

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(隣町の伊賀忍者にまつわり、忍者推し。いつか忍者もしたい。)

アグリー農園。

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農園の名前はアグリー農園。主婦の井上さんが、知り合いの全くいない地域で、知識ゼロから農業を開始。度重なる失敗と借金の中でも諦めずに経験を積み重ね、小松菜や水菜などの葉物野菜を水耕方式※で栽培する方法を確立されたそうです。

水耕栽培…水で栽培するため、土がつかず衛生的で調理がしやすい。

そう三行の文章でまとめるには、あまりにも大変な日々で、手元にある野菜(帰り道に思わず、小松菜と水菜を購買)がとても大事なものに感じられました。

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農業と福祉の連携。

井上さんは他にも、NPO法人として障害者の就労の場を作ることにも取り組まれています。農業と福祉の連携で、後継者不足に悩む農家と、障害のある方の就労先不足の問題を一度に解決。農業と福祉を掛け合わせることで、50%+50%=100%にするのではなく、それぞれを自立させることで100%+100%=200%の成果を出していました(障害者雇用による事業は利益が上がらなかったり、利益があっても障害者に充分な工賃が支払われないことが間々ある中で素晴らしい成果)

“農業”と“福祉”、どちらも中途半端にはできないことであり、どちらも本気で取り組まなければいけないこと。国の基準の3倍の支援員を配置して、農家と障害のある方が“仕事として成立する農業”を追及されていました。

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現在は、“芸術”と結び付けて、「さをり織り」の作品作りも。失敗の少ない作業を用いて、障害のある方の個性や長所を引き出していました。

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農園や福祉、芸術の取り組みを見て感じたのは、井上さんの「人や物の輝きを見付ける技術」です。野菜の魅力を引き出して売ること、障害のある方の個性を引き出して成果物を生み出し商品化すること、すべては人や物の価値を見る力なのだと感じました。

 

 

「大変なことは多くても、夢に向かって取り組めていること自体が幸せ。そこには成功も失敗もない」と話す井上さん。彼女を突き動かす原動力は、今に至るまでに手を貸してくれた人々への恩だそうです。元気で、何かやってくれそうな期待感があって、執念深くて(笑)、自然と応援したくなる姿に刺激を受けました。

 

自分がひきこもりであった時や病院で働いていた時にも感じことは、「多数派の枠組みから外れると、人々が当たり前に望むことを望めなくなる」ことで。それは、外出するだとか、仕事をするだとか、恋愛するだとかなのですが、障害を持っていても関係なく、働ける場所がある。そして、認めてくれる人がいる、というのは希望なんだと感じました。 

名張流まちづくり。

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名張市は、市役所自体も、まちづくりや、地域包括ケアシステム※(まちの保健室、有償ボランティア、名張ネウボラ※)に関して先進的な取り組みをしています。

※地域包括ケアシステム…死ぬまで、住み慣れた地域で生活し続けるための仕組み作り。

ネウボラ…妊娠期から出産、6歳になるまで一環して一人の保健師助産師が子どもと母親、そして家族の相談にのる場所(フィンランド発祥)

名張市は、ほぼ全ての自治体に存在するであろう区長制度を廃止。174区に分かれていた地域づくり組織を小学校圏域ごと15区へ再編しました。そして、区長への報酬や公民館の維持費などのお金を一まとめにして、組織に分配。住民の考えで、お金を自由に使える制度を作り出しました。

「道路の修復に充てるも良し、側溝のどぶ掃除をするも良し、コミュニティバスを運行するも良し」お金の権限を全て移譲し、いわば小さな自治体を作成。行政にお願いされるのではなく、地域の課題を我が事の課題と認識し、自ら考え、自主的なまちづくりを進めています。

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他にも、“住民のための住民による有償ボランティア”、小学校単位に専門家が常駐する“まちの保健室”を運用(私は、稲沢市も子どもの多い地域や高齢化率が高い地域から、保健師や看護師、保育士、社会福祉士リハビリテーション専門職らが駐在して、子育てや介護などの相談や支援を行なう必要性があると思っている)していますが、根っこにあるのは「住民自治」。そして、その土台を作ったのが、上記のまちづくり組織なのだと分かりました。

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プレイヤーを増やす。

まちづくりで一番重要なのは、傍観者を減らすことです。

名張市のまちづくり組織への参加資格は、そこに住むこと。市政への参加は従来、選挙権を行使するもので、(これからの未来に一番関係のある人たちなのにも関わらず)18歳以下の意見はおざなりでした。

この組織には子どもも入れるため、小さな頃から自分たちでまちに関われる可能性があります。まちを作り上げる経験ができれば、地域への愛情を持てるでしょうし、自信も付く。きっと、大人になってからも傍観者にならずに、プレイヤーとしてまちに関わることができるはずです。

 

地域包括ケアシステムやネウボラという言葉の前に、土台作りに取り組む必要性があることを痛感しましたし、自分自身で行なっている活動(まちづくりミーティング)が住民自治に辿り着く一つの要素だと感じました。

 

 

いろんな人と世界がある。広がった視野を、自分の街に落とし込んでいきます。

 

しち おう/志智 央
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何をやってもダメ?〜学習支援のもう一つの効果〜

生活困窮者自立支援法(生活保護を受給するなど、経済的な理由で困っている方への支援策)の施行により、各自治体が取り組み始めた“学習支援教室”。

稲沢市では、“ブリッジルーム”の名で昨年から開始。教員OBの方らが、中学生の勉強を教えており、何度もブログで取り上げてきました。【過去記事−ブリッジルーム訪問−、−議会で取り上げる−】

 

教室が始まって一年経っていませんが、「勉強が好きになった」「進学する意欲が強くなった」「学習時間が延びた」などの効果が出ています。この度、全国で同様の教室を開いている自治体への聞き取り調査が行なわれ、検証データが出ました。

 

「生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業に関する調査」結果のお知らせ|NPO法人さいたまユースサポートネットのプレスリリース

 

 

検証データの中で一番気になったのは、親や子どもに学ぶことの諦めがあり、対象世帯の全てが参加しているわけではないという部分です。議会の中でも取り上げましたが、貧困家庭の子は、そうでない家庭の子に比べて「自分は価値のある人間だと思わない」割合が倍増しています。つまり、「自分は何をやってもダメだ」と自信を失くしてしまっているということです。

 

一方で、調査結果によると、「貧困家庭の子どもに対して学習支援事業を行なうことにより、友人や大人との関係が良くなる傾向がある」、「支援には成績の向上だけでなく、社会との繋がりや自己肯定感などを高める効果も伺える」という分析もあります。

 

 

自信は、生きていく上でとても大切な要素です。自分や自分の持つ可能性や未来を信じられるから、今に取り組むことができる。つらいことに立ち向かうことができるのも、きっと乗り越えられると自分を信じられるからこそ、挫けずにいられる。

 

学習支援は、勉強や進学といった言葉と結び付けられやすいですが、自信を育むなどそれ以外の部分(基本的なマナー、いじめや虐待への気付き、仲間づくり、目標となる大人を見付ける、不登校・中退対策)の方がむしろ重要なのではないかと考えています。テストの点数の取り方よりも、そちらの体験の方がもっと大切で、私は学校に行っていなかったので勉強はダメダメでしたけど、なんとか今も生活していられるのは、勉学以外で学んだ多くのことがあったからだと思っています。

 

 

その経験を通して思うのは、人は、人や社会との繋がりを通して、自信を取り戻していけるということです。出自に関係なく学べたり、いろんな人や体験と出会えることは、目に見える成績や進学以上に価値を持っています。それは生活に困窮している家庭に限らず、すべての子どもに言えることで、そういう場所を増やすこと、そういう部分に人やお金を充てることが必要です。

 

 

反響

ちなみに、議会でブルッジルームを取り上げてから、元教員の方々から問い合わせがあり、2名の教員が新たに加わることになりました(私の議会質問の内容が載った“議会だより”を持って市役所を訪れてくれたり、直接メールをくれたりした…嬉しい…!!)

行政の良い取り組みにはちゃんと光を当てて、検証データの中でも指摘されている「学校や教育委員会をはじめとした関係機関との連携の必要性」などの解決法を探って、さらに策を前に進めていきます。

【各家庭に配布される議会だより(8ページに記載)

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介護予防の担い手作り〜リハビリネットワーク〜

私は以前、病院で作業療法士をしていました。

脳卒中や骨折、発達障害なども持つ対象者のリハビリテーション(簡単に言うと、病気などによって崩れた人生や生活を、再建するサポート)に従事。次第に、病気や障害の“治療”から、なる前にいかに“予防”するかに意識は向かい、「市全体で健康な人を増やすための取り組みをしたい」と考え、今の仕事に就きました。

 

疾病および介護予防の分野でリハビリテーション職が果たす役割は大きく、各自治体で活躍している治療者は多いです(中には、市役所で働いている人も!)特に、医学的な根拠を用いて活動に関われ、かつ対象者の状態を評価できる(状態の悪い人を見極めたり、介入の前後でどう変わったかを数値で示せる)うってつけの仕事です。

 

が、しかし!!

認知度は今ひとつ…でして、「なにその仕事?」と思われることが多いです。

特に稲沢では、その度合いが強く、疾病および介護予防の分野も進んでいません。理由は様々あれど、一つは、治療者をまとめる団体(受け皿)がないからだと考えています。

 

医師会や歯科医師会、看護師会と異なり、愛知県作業療法士協会はあっても、“稲沢市作業療法士協会はない。たとえば、市民や行政が業務やアドバイスをお願いしたくても、どこに連絡すれば良いのか分からない。

 

 

自分のやりたいことを叶えるため、以外に、リハビリテーションの職種の知名度を上げるためにも、どうにかしないといけないと思っていて暗躍(笑)していたのだけど。県協会も同じ考えだったようで、稲沢市リハビリテーションの団体設立に向けた動きが少し出始めました。

 

先日、第一回目の会合があり、出席。前の職場の先輩らも参加されていて、話に華が咲いたり、初対面の方から「もしかして交差点に立っている人…?」と言ってもらえたりしました(^^)新しい取り組みなので前途多難ではあるのですが、稲沢市リハビリテーションのネットワーク設立に向けて、自分にできることを探そうと思っています。

 

 

稲沢の医療や介護、福祉にも関わることなので、進展があればまた報告しますね。

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(病院勤務時の写真が出てきた)

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自分たちで街をつくる〜名古屋わかもの会議〜

名古屋わかもの会議に参加しました。

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in 名古屋能楽堂

 

名古屋わかもの会議は、35歳までの若者が地域の将来を考える集まりです。

第6回目の今回のテーマは、“名古屋の魅力”。昨年6月に名古屋市が「都市ブランドイメージ調査」を実施した時に、国内主要8都市の中で名古屋の魅力は最下位。さらに、自身の居住地に対する愛着も低い結果が出ました。

 

「どうすれば街に愛着を持ち、自分たちの街を作っていく意識を持てるのか?」を探るために、乙武洋匡氏の基調講演やパネルディスカッションの後にグループワークを行ないました。

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型通りの答えにならないよう、話し合いはランダムに選ばれた2つのキーワードからアイデアを膨らませました。たとえば、“大学生”ד名古屋グランパスエイト”で名古屋を盛り上げる方法、あるいは“カップル”ד空き家”で〜などです。

 

私たちの班は、大学生×鶴舞公園。一人暮らしの大学生が、転居で感じる様々な不安(周りに知り合いがいない、交通の便、東海地方は地震が心配など)を、地域の魅力を掘り起こすことで解決するアイデアを寸劇を用いて発表しました。

 

 

審査員である岩城元名古屋副市長や藤井美濃加茂市長らを前に、寸劇…(笑)

 

 

私たちの班は、下は高校生、上は社会人である私、ほぼ大学生で構成されていたのですが、非常に人に恵まれてとても楽しく発表。実は寸劇大好きな一面もあってか、見事に賞(会議の協賛企業賞)を頂きました(^^)

 

 

 

自分の街に対する誇りのようなものは、いろんなことを通して築かれていきますが、その内の一つが「自分の事として街を考えること」です。そして、考えるに終わらず行動に移して、結果、何かを変えられた時に「自分にもやれる」という自信が生まれてくる。それは、街づくり以外の部分、その人自身の自信にもなって、「これから」を変えていくのではないかと感じました。

 

そして、なにより、みんなで議論するのって楽しいです。 f:id:shichioh:20170314210952j:plain

 

私の住む稲沢市は、今、自分の街の魅力を探しています。その文脈の中で頻繁に出てくるのは「名古屋に近い稲沢の魅力」です。“魅力的な名古屋に近いから、稲沢も魅力的”と語られる度に、私は自分の街のことなのに、何で主語が「名古屋」なのだろうと違和感を覚えます。

名古屋自体は、危機感を持って、自分の街の魅力を探そうとしている。であるならば、私たちは、それ以上に生きていくための策を考えないといけない。改めて、そう思いました。

 

 

名古屋わかもの会議と比べて100分の1以下の規模ですが、稲沢まちづくりミーティングを通して、若者と自分の街のことに少しずつ取り組んでいきたいです。

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6年の月日を経ても

東日本大地震から今日で6年。

日常に追いやられて、頭の片隅にしまわれたあの日が、3月11日に近付くにつれて増える震災関連のニュースで呼び起こされる。常に思い続けることができないことに後ろめたさを感じながらも、たった一日だけでも、思いを馳せることの意味を考えて文章を書きます。

 

風の電話

被災地である岩手県大槌町に、風の電話と呼ばれる電話ボックスがある。

電話と言っても形だけで、電話線は繋がっていない。利用するのは、震災で大事な人を亡くした人たちで、誰にも繋がることのない電話に語りかける。震災から月日が流れた今、残された人はその電話で何を話しかけるのか、取材した番組を見た。 f:id:shichioh:20160329232945j:plain

映像には、一見、震災を乗り越えたように見える人も、電話を手に取ると涙が止まらなくなり、溜め込んでいた気持ちを一気に吐露する姿が映し出されていた。“大丈夫”で上書きした、“大丈夫じゃない”という気持ち。ずっと、周囲だけでなく、自分すら大丈夫だと思い聞かせて、“つらい”という思いを心の奥にしまっていたのだろう。

 

「悲しむ」という作業

被災に限らず、誰かを亡くしたり、住まいや仕事、障害で体を失ったりした後に辿る心の経過は似ている。いつかは、悲しみにさよならを告げて、残された人や日々と生きていく必要があるのだろうけど、その前に「悲しんでいる自分自身の気持ちに気付き、認めること」がとても大切だと感じる。

悲しみを見ないように蓋をして、その上に積み上げた“大丈夫”は、歪な土台の上に立っていて、いつか崩れてしまう。たとえ、同じようにつらい人が周りに居たとしても、その人の持つつらさはその人だけのもの。悲しい時は、悲しんで良い。自分の気持ちを無視せずに、目を向けることが、再び立ち上がるためのプロセスとして必要なのだと思う。

それを促すのが、故人との会話であり、風の電話なのかもしれない。

 

生きているだけで

私たちは、年月を捉える上で、5年を超えたあたりから“区切り”を感じる。「もう5年も経った、いつまでも悲しんではいられない、前を向こう」と勝手に踏ん切りをつけようとする。そして、それをどこかで被災された人にも求めているように思う。

でも、亡くなった人や、失った故郷に向けた心を埋めるには、5年はあまりに短いし、年月は誰しもに等しく区切りを与えるわけではない。大丈夫かどうか決めるのは、年月でも、他人でもない。本人が立ち上がるまで、部外者の私たちは、区切りをつけず、ただ思いを寄せるしかないのだと思う。

 

 

東北地方だけではなく、九州でも被災された人がいる。また、被災とはまた別で、悲しみに暮れる人がいる。場所や、出来事の大小を抜きにすれば、みんな何らかの悲しみを抱えながら、それでも生きている。別にポジティブでなくても、ネガティブでも良い、別に良いことなんてしなくても、生きているだけで前向きなんだと信じたい。


 

 

【参考記事】

東京新聞:心で話す「風の電話」 岩手・大槌町 遺族と犠牲者つなぐ:東日本大震災(TOKYO Web)

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